とれたて
津久井在来大豆
【豊国屋】発酵学び、津久井の大豆で納豆やてんぺのオリジナル商品
- 豊国屋(相模原市南区)
- 2017年2月2日 神奈川新聞掲載

1882(明治15年)に造り酒屋として創業した「豊国屋」。店主の岡本政広さん(64)と妻の加代子さん(57)は酒販業の傍ら、神奈川の地大豆「津久井在来大豆」を使った加工食品の委託製造・販売に取り組んでいる。

きっかけはある新聞記事だった。もともと食の重要性に関心があった政広さんは、発酵学の第一人者である小泉武夫さん(当時東京農業大学教授)のコラムに感銘を受け、2003年から3年間、小泉教授のオープンカレッジで体系的に発酵を学び、農業体験を積んだ。政広さんは、自分で栽培した大豆から造ったみその味に感動し、その喜びを共有したいと夫妻で地大豆の自家栽培を始めた。
店から車で数分の距離にある畑では、毎年6月下旬から7月上旬にかけて種まきを行う。刈り取りは、豆が熟す11月ごろ。県内外の客や子どもたちを集めて収穫体験を行うなど、食育活動にも積極的だ。
収穫後は、乾燥させたさやを丁寧にむいて、1粒1粒大豆を取り出し、選別する。「一見利益につながりにくい作業も真摯(しんし)に向き合うことで、商品のクオリティー(質)が担保される」。政広さんの言葉に力がこもる。

店に並ぶ津久井在来大豆を使ったオリジナル商品は、てんぺ(インドネシア生まれの伝統食品)や納豆などの発酵食品をはじめ、きな粉、ドレッシング、菓子類など約12種類。中でも「津久井在来大豆の蒸(ふ)かし豆」(1缶135グラム437円)は、クリにも似た豆本来の甘さや香りが格別だ。水で煮るのではなく、蒸すことで栄養素と風味を封じ込めた。元造り酒屋としての伝統と知識を生かし、本業である酒販売も携わっており、石川県・能登半島の櫻田酒造と提携し生まれたオリジナル日本酒「さがみ桜」は清酒ファンにも愛されている。
「みそ造りや酒造りには、時間と手間をかけるゆとりと熱意が不可欠。こうした食文化に触れることで、暮らしぶりや食生活を見直してほしい」。夫妻は、この店や畑から、食の安心と心の豊かさを発信し続けている。

★お薦め品
◇津久井きなこ 100グラム360円
◇津久井大豆の納豆 80グラム194円
◇津久井大豆ふく豆チョコたん(ミルク・ビター) 各50グラム388円
◇おりじなるの酒・さがみ桜 180ml237円
◇香ばしい味噌クッキー100グラム 257円
◇ソイドレ 195グラム734円

※魚介類や野菜など生鮮食料品の価格・種類は、水揚げ量や収穫量、天候などの影響で変動します。価格などは変わっている場合があります。
☆相模原市南区新戸3024。JR相模線相武台下駅徒歩7分。午前9時~午後8時半。木曜休み。駐車場あり。☎046(251)0048。
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