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テーマ特集 銭湯&湯上がりスポット①
一律470円 「戦後経済」の唯一の名残

  • 2018年1月27日 神奈川新聞掲載

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 そびえ立つ煙突に富士山のペンキ絵、黄色い桶(おけ)。長年、庶民の“社交場”として親しまれてきた銭湯。一年で一番寒さが厳しくなるこの季節、湯船につかって温まり、くつろいでみませんか? 湯上がりスポットとともに紹介します。(1/14)


大きな浴槽の湯気がいざなう=鎌倉市の清水湯
大きな浴槽の湯気がいざなう=鎌倉市の清水湯

 銭湯とは文字通り、お金を払って入る浴場のことをいう。ただ温泉場の日帰り浴場や、休憩所や食堂を備えたスーパー銭湯とは違う。煙突がそびえ、のれんが掛かり、番台があるイメージ。近年は番台や煙突のない銭湯も多いが、それらも含め、身近な街の「お風呂屋さん」のことだ。

 定義の一つは、公衆浴場法(1948年制定)に基づく「一般公衆浴場」。堅苦しく味わいに乏しい字面だが、法律できっちり縛らなければならないほど、生活に欠かせない公共インフラだった。


ずらりと並ぶ下足入れなどのロッカー=鎌倉市の清水湯
ずらりと並ぶ下足入れなどのロッカー=鎌倉市の清水湯

 何げなく番台で払う入浴料金にも、戦後史の一断面が垣間見える。神奈川県内は一律470円(中学生以上)。この「一律」の根拠、実は終戦間もないころの物価統制令(46年3月施行)にあり、それが今も残っているのだ。

 物資不足によるインフレを防止するため定められたものの、経済が安定し、主食のコメも含め大半は自由化された。銭湯の料金は、今や「戦後経済」の唯一の名残である。

神奈川県内銭湯の入浴料金

大人(中学生以上)470円

中人 (小学生)200円

小人 (未就学児)100円

※中学生は学生手帳提示で100円割引。保護者同伴で小人2人まで無料。

江戸庶民のくつろぎ今も

 神奈川県内の銭湯が加盟する県公衆浴場業生活衛生同業組合(横浜市南区)のホームページには「私達が自由に料金を値上げしたりすることが出来ません」とある。厳しい規制と経営環境に置かれているとの思いが、行間から伝わってくるではないか。

 実際、現代の銭湯経営は厳しい。1960年前後は高度成長を背景に全国で軒数が急増したが、60年代後半には家庭に風呂が普及したことで減少。68年に1万8千軒を超えた全国の軒数は今や、4千軒を下回る。

 同組合によると、県内では153軒が営業中。800軒を超えた60年代の最盛期は言うに及ばず、10年前と比較しても半減したという。そこに燃料費の高騰や後継者不足が重なる。


コイや金魚が描かれたタイル絵(鎌倉市の清水湯)
コイや金魚が描かれたタイル絵(鎌倉市の清水湯)

 …と暗い話が続いたが、広い湯船に漬かり、高い天井を見上げる気持ちよさは何物にも代えがたい。健康維持や地域コミュニティーの役割も担う。江戸の庶民がくつろぎを求めた「湯屋」の風情にも通ずる銭湯を、今こそ満喫しよう。


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