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気になる 景観生かした展示、コロナ禍予見したような作品も 「黄金町バザール2021」

阿部智子の新作「swop installation」。光を当てることで表裏2枚の布が互いに交換し合う=「黄金町バザール2021」会場
阿部智子の新作「swop installation」。光を当てることで表裏2枚の布が互いに交換し合う=「黄金町バザール2021」会場

 アートを通じたまちづくりイベント「黄金町バザール」が、31日まで横浜市中区黄金町一帯で開催中だ。今回で14回目で、日本、台湾、フィリピンなどアジアを中心に国内外41組のアーティストが参加。うち29組は同地域で長期にわたって滞在制作している。今回のテーマは「サイドバイサイドの作り方」。窓や扉が無機質に並んだ地域の景観を生かし、日本未発表の作品や滞在制作で生み出された新作も並ぶ。

 同バザールは、かつての違法風俗店を改装したスタジオや大岡川など同エリアを象徴する場所を使い、アートによるまちづくりの一環として、2008年から年に1回開催。地元住民らで構成する黄金町エリアマネジメントセンターと初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会が主催している。

 19年から黄金町で滞在制作を行っている現代美術家の阿部智子は、「交換」をテーマにコロナ禍の中で取り組んできた新作を披露。薄暗い部屋に浮かぶ布のインスタレーションは表裏の一部をそれぞれ交換し、「色彩豊かな裏面から光を当てることで墨で描いた表面に華やかな彩墨が映し出され、一つの作品が成立する」と説明。一方で、壁一面には和紙に描いたドローイングなどが170枚以上並び、布と紙との対比も見てとれる。



地域防犯拠点ステップ・ツーに展示する増山士郎の作品=「黄金町バザール2021」会場
地域防犯拠点ステップ・ツーに展示する増山士郎の作品=「黄金町バザール2021」会場

 10年から北アイルランドのベルファストを拠点に活動する川崎市出身の増山士郎は、社交することができない空間をつくった。飲食はできるが一人一人仕切られた席で、無言で“黙食”する。7年前に発表した作品に手を加えたもので、手指の消毒や店主との会話も自動音声を介して行われる。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために世界中でソーシャルディスタンスが推奨されたコロナ禍を予見していたような作品だ。

 今回唯一来日ができたアーティストでもある増山は入国後の14日間の待機期間中、健康確認センターからかかってくるAIの自動ビデオ通話を毎日記録し、会場で映像を公開。社会や人々との関わりについて思考し、実践する作品を発表してきた増山ならではの取り組みを新作として加えた。

 主催する山野真悟ディレクターは「高架に沿って歩けば、個性あふれる作品が点在し、まちを彩っている。アートとまちが融合した独特な空間を回遊するように楽しんでもらいたい」と呼び掛ける。

 31日まで。会期中、何度でも使えるチケットは一般千円、高校生以下無料。問い合わせは同センター、電話045(261)5467。

2021年10月28日公開 | 2021年10月28日神奈川新聞掲載


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