気になる ショパン国際ピアノコンクール2位 反田恭平が来年3月、ミューザ川崎シンフォニーホールのコンサート出演

今年10月にポーランドで行われたショパン国際ピアノコンクールで、51年ぶりに日本人歴代最高位タイ記録となる2位を受賞したピアニスト反田(そりた)恭平(27)。来年3月にミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)でのコンサートに出演する。帰国間もない反田に、コンクールでの得難い経験やコンサートの聴きどころを聞いた。
15年来の舞台
「12歳でショパンコンクールの存在を知り、ファイナルでショパンの協奏曲をオーケストラと弾くことが夢だった」という反田。15年来の夢をかなえて「幸せな時間だった」という。
2016年にデビュー。コンサートチケットが完売することも多く、「生きていくには十分な活動」だった。世界最高峰のピアノコンクールに参加して入賞できなかったら、「ブランドじゃないが、それまでの活動に傷をつけることになるんじゃないか、という周りの意見もあった」という。
だが、「どうせなら受けて壁にぶち当たった方がいい」と出場を決め、周到に準備した。ロシアのチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院を経て、17年からポーランドのF・ショパン国立音楽大の研究科で学んでおり、ショパンが生きた土地での学びの集大成でもあった。
ショパンの魅力
1次予選で87人だった参加者は、最終審査では12人に。「500人以上がエントリーした中で、12人だけが用意した曲を全部弾けた。これは本当にやりがいのあること。みんなで『やりとげたね』と言い合った」
参加者の間には最初は緊張感があったが、同じホテルに宿泊する者も多く「次第にマスタークラスを受けている感じに。待ち時間も長かったので、励まし合いながら過ごした。いい友だちができた」とほほ笑む。
「ショパンは気難しい性格だったと思うが、寄り添うことは可能。残された手紙を読むと、意外と皮肉たっぷりな面もあり、そこに魅力を感じる」と明かす。
ロシア音楽を披露
来年3月のミューザ川崎では「東芝グランドコンサート2022」として、ダービト・アフカムが指揮するスペイン国立管弦楽団と共演し、プロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」を披露する。弾むようなピアノとオーケストラの掛け合いが印象的な曲だ。
「初めて留学してすごく影響を受けたロシアの音楽を弾けることがうれしい。この曲は、ビザの関係で急に日本滞在が延びたプロコフィエフが各地を回り、長唄の『越後獅子』に感化されて作った。(すぐに帰国していたら)存在しなかった曲かもしれない」という。
1月にはスペインで同公演を行うため、「その熱狂ぶりをそのまま日本に持ってこられれば。楽しみにしてほしい」と意気込む。
ミューザ川崎には「サマーフェスタ」公演に何年も参加しており、「舞台裏の楽屋が広々としていて、演奏者同士で交流できるのがいい」と気に入っている。
夢は音楽学校
ピアニストとしてだけなく、レコードレーベルの創設や、同世代の演奏家に声を掛けてオーケストラを立ち上げ、指揮を務めるなど、幅広く活動している。それらは、最終的な夢である「ソリストを育てる音楽学校をつくること」につながっている。
「学校のような場所を歩く白髪になった自分を、子どもたちが『先生』と呼んでいた。その夢を見た日から、僕がやるべきことだと思っている」という。コンクールによって自身の活動が注目されることが、学校設立に向けて大きな力になると考えている。
「東芝グランドコンサート2022」は2022年3月8日午後7時開演。S席1万3千円ほか。12月4日午前10時からチケット発売(チケット完売)。問い合わせはクラシック事務局、電話(0570)012666。
※3月8日、ミューザ川崎シンフォニーホールでの「東芝グランドコンサート2022」はダービト・アフカム指揮、スペイン国立管弦楽団に替わり、ガエタノ・デスピノーサ指揮、ジャパン・ナショナル・オーケストラ特別編成が出演する。
2021年12月3日公開、12月6日更新 | 2021年12月1日神奈川新聞掲載
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