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気になる 立体的な金魚絵を公開 上野の森美術館で深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」

深堀の原点ともいえる「金魚酒」シリーズ。2019年に制作した「蒼宿」=上野の森美術館
深堀の原点ともいえる「金魚酒」シリーズ。2019年に制作した「蒼宿」=上野の森美術館

 金魚をモチーフにした創作活動で知られ、横浜市内にアトリエを構える美術作家、深堀隆介(48)。東京都内の美術館では初めてとなる本格的な展覧会「深堀隆介展『金魚鉢、地球鉢。』」が、上野の森美術館(東京都台東区)で開催中だ。初期から最新の絵画やインスタレーションなど約300点が並び、およそ20年にわたる「金魚絵」の全貌を見ることができる。

 深堀は名古屋市生まれで、幼少期に隣接する弥富市の名産である金魚を見て育った。美術作家としての転機は、愛知県立芸術大学で学び制作活動をしていた2000年頃。作品を酷評され自信を失いかけたが、自宅で飼っていた金魚の美しさに心打たれ、創作意欲をかき立てられた。この体験を「金魚救い」と名付け、以来、金魚をモチーフにした創作が始まった。



新作インスタレーション「僕の金魚園」(2021年)=上野の森美術館
新作インスタレーション「僕の金魚園」(2021年)=上野の森美術館

 深堀の作品は、器の中に流し込んだ透明樹脂の表面にアクリル絵の具で少しずつ金魚を描き、さらに樹脂を重ねるという独創的な技法で制作される。樹脂が何層にも重なり合うことで、真上から見ると透けるような質感で立体的な金魚が浮かび上がり、水底には影も現れる。「この手法にたどり着いたとき、自らの手を離れ、金魚が水しぶきをあげて泳ぎ出すような感覚が得られた」と振り返る。

 展示の最大の見どころは00年代初頭から現在に至るまで一貫して制作し続けている、一合升(ます)に金魚が泳ぐ作品シリーズ「金魚酒」。「最初からうまく描けた訳ではない」と強調するように、年代順に並ぶ作品を追うと、金魚のひれの薄さ、皮膚の透け感、底に落ちる影など、より繊細でリアリティーを追求した作品に変化していく。20年にわたり試行錯誤した過程が見て取れる。


「金魚を見つめ、自分を見つめながら、これからも作品制作と向き合っていきたいと思う」と語る深堀
「金魚を見つめ、自分を見つめながら、これからも作品制作と向き合っていきたいと思う」と語る深堀

 新作インスタレーション「僕の金魚園」(21年)は、金魚すくいの屋台をイメージした。水槽の中にアニメのキャラクターのような平面の金魚を描き、壁にはライトを投影して水面の光を模した。展示室全体を水中のように見立てることで、鑑賞者も水槽の中にいるように感じられる。「コロナ禍で夏祭りが中止になって寂しい思いをした子どもたちや、アート初心者にも楽しんでもらいたい」とほほ笑む。

 タイトル「金魚鉢、地球鉢。」はコロナ禍で制作を進めるなかでひらめいた。「『地球鉢』は僕が考えた造語。気候変動や環境破壊、ウイルスがまん延する今の地球が、水の入れ替えをせずに汚れた金魚鉢に似ていると感じた」という。「限られた資源をいかに汚さずに使うかが課題。金魚を見つめることで、私たち自身を見つめ直すことができるのでは」と力を込める。

 31日まで。一般1600円ほか。問い合わせはハローダイヤル050(5541)8600。

2022年1月12日公開 | 2022年1月10日神奈川新聞掲載

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