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シネマ散歩
映画【声もなく】誘拐犯と少女の奇妙な関係

21日からシネマート新宿で、2月12日から横浜のシネマ・ジャック&ベティで上映。
ユ・アインは目にする度に印象が異なる俳優だ。ドラマ「密会」では年上の女性と恋に落ちる情熱的な天才ピアニストを熱演、初の悪役に挑んだ映画「ベテラン」では狂気を含んだ財閥御曹司、村上春樹の短編を原作にした「バーニング 劇場版」では不安を抱えて生きる現代の若者に扮(ふん)し、リアルな演技で見る者を引きつけた。
今作では頭をそって15キロも体重を増やし、闇仕事を請け負いながら幼い妹と暮らす、口のきけない青年を、存在感たっぷりに演じた。すえた汗の匂いが画面から漂うような貧しい暮らしぶりを、ひと言のせりふもなく、見事に体現している。
犯罪組織が殺した死体を処理して、日々の生計を立てているテイン(ユ=写真左)。誘拐されたものの、父親が身代金の支払いをしぶっている11歳の少女チョヒ=同中央=を預かることになり、相棒のチャンボク(ユ・ジェミョン=同右)と共に意図せず誘拐犯になってしまう。
テインの家とも呼べない掘っ立て小屋に閉じ込められたチョヒは、テインの妹に食事のマナーや部屋の掃除を教えるなど、小さな母親のような存在に。そんなチョヒに、テインは哀れみとも愛情とも判別しがたい感情を抱く。
悪人ではないが、生きていくために善悪の判断があいまいな状態にあるテイン。自らを誘拐犯だと認識した瞬間が切ない。
監督・脚本/ホン・ウィジョン
製作/韓国、1時間39分
2022年1月21日公開 | 2022年1月21日神奈川新聞掲載
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