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気になる ピュリツァー賞受賞の戯曲「ラビット・ホール」 18日からKAAT神奈川芸術劇場で上演

小学校から大学まで横浜で過ごした。劇場近くの山下公園は「何者にもなれず、もがきながら海を見ていた場所。ここでできてうれしい」と話す篠﨑絵里子=横浜市中区
小学校から大学まで横浜で過ごした。劇場近くの山下公園は「何者にもなれず、もがきながら海を見ていた場所。ここでできてうれしい」と話す篠﨑絵里子=横浜市中区

 幸せな日常を突如失った夫婦が、悲しみから一歩踏みだそうとする姿を描くピュリツァー賞受賞の戯曲「ラビット・ホール」が18日から、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で上演される。戯曲をただ翻訳するのではなく、生きた日本語による「上演台本」を使う、国内では珍しい舞台となる。担当した横浜市出身の脚本家、篠﨑絵里子は「彼らが得た再生へのかすかな光。人を愛する勇気や救いを得ていただければ」と話す。

 デビッド・リンゼイ・アベアーによる同戯曲は、2007年のピュリツァー賞を受賞し、10年には俳優のニコール・キッドマンのプロデュース、主演で映画化された。

 舞台はニューヨーク郊外。ベッカとハウイー夫婦は、最愛の息子を8カ月前に事故で失った。いまだ息子の面影に心を乱される妻のベッカは、妹から突然の妊娠報告を受け、母からは悲しみ方をとがめられる。夫婦や家族の関係がほころび始める中、息子を車でひいた少年から会いたいと手紙が届く。ベッカは彼に会うことを決意する-。

 「かけがえのないものを亡くし、どう生きようかともがく登場人物たちの気持ちの移り変わりを丁寧に描く素晴らしい作品。どの登場人物にも共感できる」。篠﨑は、作品の魅力をこう語る。登場人物たちの会話には、拭いがたい悲しみや、相手を思いやるが故の不器用な言葉などで、張り詰めた緊張感が漂う。




 日本で海外の戯曲を上演する際は、そのまま翻訳した脚本を使うことが多い。だが企画制作にあたり同劇場芸術監督の長塚圭史は、現代の日本の観客に響くリアルな言葉に磨き上げる「上演台本」の採用を決め、NHK連続テレビ小説「まれ」の脚本などを手がけた篠﨑に白羽の矢を立てた。

 篠﨑は「日本語と英語は使う言葉が違い、キャラクターの性格も翻訳だと出づらい」とした上で、「登場人物を性格付ける言葉選びには気を使った。基本的に会話劇なので、彼らが話す言葉を推し量り、キャラクターを強めた。間違った言葉を使って世界観が崩れることは避けようと思った」と振り返る。

 大規模な上演に向けた舞台の仕事は初めて。「カメラの誘導がなく、観客がどこを見るのも自由。初めは目線を誘導できないかと思ったがそこは放棄した」と映像作品との違いを実感したという。

 同作品では、傷ついた家族が最後に救いの光を見いだす。篠﨑は、今後も家族をキーワードに「ホームドラマ」を描き続けたいという。「どんなに縁を切りたくても切れず、本音が言えるようで言えない、他人より難しい人間関係。そういうものをいろいろな角度から描いていきたい」

 「ラビット・ホール」は小島聖、田代万里生らが出演。18日~3月6日、KAAT神奈川芸術劇場で。一般6800円ほか。問い合わせはチケットかながわ、電話(0570)015415(午前10時~午後6時)。

2022年2月5日公開 | 2022年2月4日神奈川新聞掲載

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