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tvk開局50周年記念
ライブ帝国ザ・ファイナル | 自由で圧倒的な番組

tvkは4月1日に開局50周年を迎える。1972年の開局以来「ヤングインパルス」「ファイティング80’s」「ライブトマト」「ライブy」など数々の音楽ライブ番組を放送。出演したミュージシャンの数は250以上に及ぶ。
当時はアンダーグラウンドだったフォーク・ロックを取り上げた「ヤングインパルス」は東京の局ではフルコーラスで歌えないことを逆手にとり、ミュージシャンに自由な表現の場を提供して話題になった。テレビには出なかった山下達郎、ユーミン、井上陽水らも出演。この番組は「音楽ステーションtvk」の先駆けとなった。
79年に宇崎竜童から、「それまでのヒット曲全てをお蔵入りにして新しい世界を切り開き、もっとファイティングしたい」と提案を受け、当時黎明(れいめい)を感じていたロックに新たなシーンを番組から起こそうということになった。「ファイティング80’s」の誕生である。
それまでの音楽番組とは一線を画したライブ感のある緊迫した空気を感じさせる番組を目指した。東京・蒲田の電子工学院の大講堂を疑似ライブハウスと見なして公開ライブ番組とした。出演ミュージシャンはスタジオとは違う自由で開放的なパフォーマンスを繰り広げ、例えばサザンオールスターズやRCサクセションはブラウン管を通して強力なうねりを放っていた。
時代を記録する映像

「ファイティング80’s」はサウンド、映像面でオリジナルな音楽番組スタイルを生み、ロックシーンの基盤を作った。40年以上たった現在、ビデオを見ても現場の空気を感じさせる。1986年にはロックは市民権を得るまでになり、大手スポンサー提供の公開ライブ番組「ライブトマト」が始まった。
この時代になると、バンドブームが出現し、多彩なスタイルを持ったミュージシャンが続々登場してきた。収録場所に新都市ホール(横浜駅東口、横浜新都市ビル9階)の多目的スペースを選ぶも、ステージ設営などの大変さや出演ミュージシャンに客がなだれ込むなど警備上の問題が多発し、あえなく撤退せざるを得なくなった。
次に選んだのは川崎クラブチッタ。警備上の問題はなかったのだが、会場で酸欠状態になった客に何度も救急車が出動する羽目になったり、会場の地盤問題で振動騒ぎが起り、周辺の飲食店やマージャン店からクレームが入った。結果、クラブチッタは地盤工事をすることになり他の収録会場を求めての放浪を余儀なくされたのだった。公開のライブ収録には数々の苦労を強いられたものの、その時その時代のビビッドでスリリングな映像を得ることができた。tvkが持つ貴重な映像の蓄積である。
当時、若者だった中高年の方にはこれを機に、この時代の音楽に思いをはせ、若い人たちには今の音楽の原点を知るきっかけになれたらと思う。(元tvkプロデューサー・住友 利行)
tvkが所蔵する貴重な音楽アーカイブ映像でつづる開局50周年特別番組「ライブ帝国ザ・ファイナル」は4月2日午後2時~同5時55分(第1部)、午後7時~同9時50分(第2部)。番組ホストは宇崎竜童。公式サイトなどでリクエストを受け付けている。
2022年3月29日公開 | 2022年3月29、30日神奈川新聞掲載
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