気になる
人形劇
小説「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」が、人形劇団ひとみ座の人形劇に

バケツに釣り糸を垂らすと次々にたい焼きが釣れる「釣り鯛焼き」、このパンを食べればどんな物でも盗めて捕まることもない「怪盗ロールパン」、飲むだけで苦手な朗読がすらすらと上手になる「スピーチジュース」。
駄菓子屋の銭天堂で売っているのは、どれも不思議な菓子ばかり。ただし、使い方を間違えると、たい焼きどころか、別の世界へ引きずりこまれるなど、とんでもない代物だ。
そんなユニークな設定が子どもたちを引きつけている、横浜市出身の廣嶋玲子による小説「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」が、人形劇団ひとみ座(川崎市中原区)の人形劇になった。
店の主人・紅子は全長155センチと、他の人形に比べて巨大だ。銭天堂の軒先をくぐって登場すると、客席を埋めた子どもたちから驚きとも、ため息ともつかない声が漏れた。飼い猫の墨丸をはじめ、泥棒や小学生の人形が、演者の巧みな動きによって、人形ならではの素朴な味わいを醸し出しているのがとてもいい。
泥棒を捕まえる刑事に同行する警察官を人形ではなく、人間の役者が演じている点には、意外さが出た。子どもたちも「人間だ」と思わず声を出していた。稽古を取材した際は、刑事の人形が泥棒に手錠を掛けて連行する場面を自然に見せるにはどうするか、と思案中だった。人間の役者が混じることで細かな動作がスムーズになり、解決したようだ。
佐賀を拠点に活動する「人形芝居ひつじのカンパニー」の演出家・北村直樹を迎えるなど、外部スタッフを入れての公演に、同劇団の意気込みを感じた。
オムニバス形式の原作をうまくつなぎ合わせて、人間の欲望の愚かさを描き出す一つのストーリーとなって、子どもに限らず、大人にも楽しい舞台だった。
川崎市アートセンター(同市麻生区)で3月29日の舞台を観覧。
2022年4月13日公開 | 2022年4月13日神奈川新聞掲載
オススメ記事⇩
この記事に関連するタグ
シェア、または新聞を購入する
- LINE
- URLコピー
- 掲載日付の
新聞を買う
推しまとめ
かながわの地域ニュースなら
「カナロコ」

「神奈川」の事件・事故、話題、高校野球をはじめとするスポーツなど幅広いローカルニュースを読むなら、地元新聞が運営するニュースサイト「カナロコ」がおすすめ。電子新聞が読めたり、便利なメルマガが届く有料会員もあります!