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文豪が愛した神奈川名宿
加満田(湯河原町)の「どうだん」 小林秀雄が愛用した部屋、木々を揺らす風音が心地よい
- 加満田(湯河原町)


奥湯河原行きバスの終点にある1939年創業の自家源泉掛け流しの宿。メインの通りから外れ日常から切り離されたその宿は多くの文人墨客に愛され、その風情を今なお残す。
宇野千代が創刊した雑誌「文體(ぶんたい)」で連載を書く小林秀雄を、宿で執筆に専念させる「缶詰」第1号にしたことでも有名だ。小林は生涯加満田を愛用し、自ら名付けた「どうだん」という部屋でのんびりしたり、友人らと酒を飲んだりして過ごした。水上勉は、長い時は一年の半分を離れで執筆し、普段でも定宿としていたという。

部屋の目の前は林で、小川のせせらぎや鳥のさえずり、風が木々を揺らす音が心地よい。現女将(おかみ)の鎌田るりこさんは「さまざまな色の緑が美しい新緑の時季がお薦め。毎年何よりも楽しみ」と顔をほころばせる。
山に沿って4棟に分かれた館は長い内廊下でつながり、それぞれの廊下には文人や著名人の直筆の書簡などが飾られる。部屋にあいさつに来る女将に頼めば文人の資料やエピソードを聞くことができ「そこに座られていた」と聞き驚く客もいるという。文人も入った名湯につかり、思いをはせてみては。



2022年5月1日公開 | 2022年4月23日神奈川新聞掲載
加満田(かまた)
住所 | 足柄下郡湯河原町宮上784 |
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アクセス | JR湯河原駅からバスで奥湯河原下車3分
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電話 | 0465(62)2151 |
公式HP | http://www.kamata-oku.com/ |
備考欄 | どの部屋にも部屋風呂があるほか、貸切露天風呂2つ、大風呂2つがあり、すべて源泉掛け流し |
[おことわり]この情報は新聞掲載日時点での情報です。掲載日以降、内容に変更が生じる場合がありますのでご了承ください。
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