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小田原三の丸ホール
林英哲と小松亮太がホール絶賛 小田原三の丸ホールで開館記念事業コンサート

小田原市の新たな文化創造拠点として昨年9月に開館した「小田原三の丸ホール」で、開館記念事業が続いている。4月9日には、同市在住で小田原ふるさと大使を務める太鼓奏者の林英哲(70)によるコンサートが行われ、和太鼓の力強い響きが観客を魅了した。5月21日には、バンドネオン奏者の小松亮太(48)によるコンサートを開催。過去に共演経験のある2人は「音の響きが素晴らしい。いいホールができた」と口をそろえた。
前例のない太鼓ソリストとして、独自の奏法を生み出してきた林。今回のコンサートでも、尺八の藤原道山、三味線の上妻宏光、弟子から成る「英哲風雲の会」と共に、独創的なステージを披露した。
市民で結成された創作太鼓「小田原北条太鼓」の立ち上げに関わり、1990年4月から1年間、指導に当たった。
当時を振り返った林は「子どもから高齢者まで50人くらい。教えてもらえば太鼓はできるんでしょ、と思っている人が多くて、えらい苦労しました」と苦笑する。練習曲の延長が、そのまま本番でも通用する曲になるように工夫し、発表会にこぎ着けたという。
今年、ソロ活動40周年という節目を迎え、「太鼓は命の本音だな、と感じることがある。それは何があっても生きること。災いや困難、理不尽なことも起きるが、われわれは生きることしか、できることがない。僕はそれを太鼓でやっているんだと思う」と語った。
そんな林の演奏を客席で聴いて絶賛した小松は、「鬼太鼓座」として林が参加した、石井眞木作曲の「日本太鼓とオーケストラのためのモノプリズム」という複雑な曲を中学生の頃に聴き、和太鼓の驚異的な刻みに驚愕(きょうがく)したという。
5月の「小松亮太 アルゼンチン・タンゴ・コンサート with 国府弘子」では、ジャズピアニストの国府やダンサーのNana&Axel、10人の奏者による「タンゴ・アンサンブル」と共に、タンゴの名曲を中心に「それだけでは終わらないコンサートにしたい」と意気込む。
昨年、430ページにも及ぶ大著「タンゴの真実」(旬報社)を著した小松は、タンゴを巡っては大きな誤解があると話す。アルゼンチンの民族音楽と思われがちだが、「欧州から渡ってきた、クラシック音楽の流れをくむ人たちが、首都ブエノスアイレスだけで作った音楽」だという。
タンゴに欠かせないバンドネオンはドイツ製で「楽器そのものがないので、奏者も少ない。今、本当に末期的なところまで来ている」と危機感を抱く。「タンゴはクラシックとポピュラーのはざまを狙っていて、芸術性もあり、大衆性もある。もっと聴いてほしい」
「小松亮太 アルゼンチン・タンゴ・コンサート with 国府弘子」は、5月21日午後5時開演。全席指定で、1階席5千円ほか。問い合わせは同ホール、電話0465(20)4152。
2022年4月29日公開 | 2022年4月29日神奈川新聞掲載
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