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鎌倉時代
鎌倉時代テーマにした作品紹介 鎌倉文学館で特別展「鎌倉時代黎明」

日本史上はじめて、武士が政権を握った鎌倉時代。その激動の歴史をテーマにした作品を紹介する特別展「鎌倉時代黎明(れいめい) 文学で読むはじめてのはじまり」が鎌倉文学館(同市)で開催されている。
序章「武士の台頭」、第一章「源平の争乱」、第二章「鎌倉幕府のはじまり」、第三章「頼家と実朝」、第四章「承久の乱」、終章「武士の法」の6部構成。当時の出来事を記録した歴史書や随筆をもとに生まれた創作の広がりを「平家物語」「義経記」などの古典から近現代までの作品でたどる。
太宰治の「右大臣実朝」や永井路子の「北条政子」「悪禅師」、北條秀司の戯曲「北條政子」など貴重な自筆原稿も多数展示。絵巻物や錦絵からも、鎌倉時代のモチーフが幅広い分野の表現者によって作品に昇華されてきたことがわかる。
若い世代からも注目を集めているのは、古川日出男が現代語訳した「平家物語」の原稿。同作品は1月から3月まで放送されて話題となった同名テレビアニメの原作ともなった。
千枚にも及ぶ手書きの原稿には「実際に生きていた人々を書く責任と、鎮魂の思い」が込められているという。古川は特別展に際して「現実に基づいた物語という奇蹟(きせき)」と題した文章を寄せ、源平の争乱と登場人物たちに抱く思いを語っている。
源義仲、源実朝など1人の人物に焦点を当てた作品も多く、作者によってその解釈が異なるのが興味深い。長らく美青年として描かれてきた源義経だが、町田康は小説「ギケイキ」で野性味のある人物像を提示している。
同館の学芸員は「さまざまな創作者に刺激を与えた『吾妻鏡』は歴史書ながらドラマチック。ビギナーズ版もあるのでぜひ読んでみてほしい」と提案。「この時代を生きた人物の内面に迫る作品はどれも読み応えがある。ブックガイドとしても展示を楽しんでもらえたら」と話している。
5月下旬からは同館公式YouTubeで、展示に関連する講座を期間限定で無料配信予定。
7月3日まで。月曜休館(6月6日は開館)。一般500円ほか。問い合わせは同館、電話0467(23)3911。
2022年5月24日公開 | 2022年5月23日神奈川新聞掲載
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