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大和市舞台のオムニバス映画「MADE IN YAMATO」 28日から横浜シネマリンなどで上映

大和市を舞台にした五つの短編作品から成るオムニバス映画「MADE IN YAMATO」が、28日から横浜シネマリン(横浜市中区)などで上映される。企画した大和市出身・在住の宮崎大祐監督(42)は「どこにでもある町の風景だからこそ、いろいろな場所に住んでいる世界中の人とつながることができる」と話す。

宮崎は、同市で毎年開かれてきた「YAMATO FILM FESTIVAL」や「こども映画教室」に、作品選定や審査員、講師として参加。コロナ禍でここ数年は開催が難しく、同市のイベント観光協会と話し合う中で、代わりの事業としてオムニバス映画製作の企画が生まれたという。
5人の監督は、全員が「物語として安易に決着をつけないことにシンパシーを持つタイプ」だという。「お客さんに持ち帰ってもらい、考えてください、と。五つの物語が重なったり、離れたりして、広がっていく作品になった」と宮崎。
自身の作品「エリちゃんとクミちゃんの長く平凡な一日」は2人の女性がお茶をしたり、おしゃべりしたりという、たわいない日常を描写しつつ、最後はこれからどうなるのか、と不穏さをにじませた。
「コロナ禍で人に会えない状況が続き、近所でお茶をするような何げない日常がいとおしく思えてきた。大きな物語を考えるより、小さなことを積み重ねた」
ロケ地は宮崎自身の生活エリアで、特に徒歩圏内にフォーカス。「普段散歩していたところがほとんど。特徴があるわけではなく、どこにでもあるような場所なので、いろいろな所に住んでいる人に共感してもらえるのではないか」と話す。
いずれの作品も、同市内で撮影した。退職する市職員のためにビデオレターを撮影する「あの日、この日、その日」(監督・山本英)は市役所、奇妙な対話劇が展開する「四つ目の眼」(同・冨永昌敬)は喫茶店「フロリダ」、街中に貼られている同じステッカーに気付いた女性を描く「まき絵の冒険」(同・竹内里紗)はスポーツセンター、他者との異なるスピード感に目を向けさせる「三月の光」(同・清原惟)は川辺の風景が特徴的だ。
監督は1975年から92年生まれと幅の広い年代から、性別も男性3人に女性2人と偏らないよう意識して選んだ。「特に日本は女性監督が少ない。そんなことに気を使わなくてもいい時代が当たり前になるように願うが、今はあえて調整が必要だ」
映画界で問題となっている性暴力を「業界にいる身として恥ずかしい」という。パワハラについては「耐えられないやつは辞めろと言われて、自分も耐えてきた。問題にされたことで、少なくとも僕の周りではよくなってきている感じはする。今を逃すと改善の機会はない」と明かした。
今回の製作を通して「何もないと思っていた大和でも面白い映画が撮れる、とポジティブに思えるようになった」。多国籍の人々が暮らす公営住宅「いちょう団地」をモチーフに「これからの大和の姿を撮りたい」と抱負を話した。
2022年5月27日公開 | 2022年5月27日神奈川新聞掲載
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