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将棋を題材に文学・映像作品など紹介 “読む将”のススメ展 町田市民文学館ことばらんど

町田市民文学館ことばらんどで、将棋を題材にした文学・映像作品などを紹介する「“読む将”のススメ展」が開催されている。大阪出身の伝説の棋士・坂田三吉を描いた戯曲「王将」(北條秀司)をはじめ、小説や漫画の原画まで幅広く紹介。江戸川乱歩や中島敦ら、作家たち自らが使った将棋盤や駒なども展示され、将棋に魅了された表現者の素顔を垣間見ることもできる。
近代文学の誕生以降、将棋に関心を寄せた作家は多く、幸田露伴、菊池寛、井伏鱒二、織田作之助、山口瞳ら愛棋家の作家たちが小説や随筆、評論、短歌などを生み出してきた。
平成に入ると、羽生善治の人気にけん引される形で同世代の棋士を描いたノンフィクション作品も増加。難病と闘った棋士・村山聖を描いた「聖の青春」(大崎善生)や、編入試験を経てサラリーマンからプロ棋士になった瀬川晶司の自伝的小説「泣き虫しょったんの奇跡」は映画化もされ話題となった。

漫画作品では、2021年に「文化庁メディア芸術祭賞マンガ部門大賞」を受賞した「3月のライオン」(羽海野チカ)や、「月下の棋士」(能條純一)などを紹介。渡辺明二冠の日常を妻の伊奈めぐみが漫画にした「将棋の渡辺くん」の原画も展示されている。
作品の制作過程が分かる資料として、芦沢央のミステリー短編小説集「神の悪手」(新潮社)の取材メモや、監修を行った棋士とのメールなどを公開している。
関連イベントとして、芦沢と、読書家で知られる若手棋士・佐々木大地七段の対談も行われた。
芦沢は熱烈な将棋ファン。「神の悪手」には、詰め将棋をモチーフにした「ミイラ」、駒作りの職人・駒師を描いた「恩返し」など五つの短編小説が収められているが、将棋観が偏らないよう表現を使い分けることに苦労したという。
佐々木は「将棋はすべて一人で決断し、責任を負う孤独なゲームだが、だからこそ『3月のライオン』などは周囲の人々の温かい支えが描かれ、胸を打たれるのだと思う。師匠や同期に対しては特別な思いもあり、人間関係も小説の題材になりやすいかもしれない」と将棋のドラマ性に言及。芦沢も「師弟や宿命のライバルの物語を、長編小説の形でじっくり書いてみたい」と今後の展望を語った。
6月26日まで。毎週月曜日と同9日は休館。観覧無料。問い合わせは同館、電話042(739)3420。
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