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PLAN 75 | 人として生きる意味問う/製作のきっかけは相模原障害者殺傷事件

17日から横浜ブルク13などで上映。
75歳以上に、自らの生死の選択権を与える社会制度「PLAN75」が施行された日本を描く。人間を生産性という視点で評価し、社会の役に立てなければ、生きている価値がないとみなす傾向のある今の社会に、強く異を唱える。カンヌ国際映画祭で、新人監督賞に当たる「カメラドール」の特別表彰を受賞した注目作でもある。
製作のきっかけは、2016年に起きた相模原障害者殺傷事件だ。早川千絵監督は、身勝手な判断で犯行に及んだ犯人に同調する社会の空気を感じ、憤りを覚えたという。18年に、是枝裕和監督が製作総指揮を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の1編として「PLAN75」を製作。これを再構築し、キャストも一新して長編化した。
倍賞千恵子が演じる78歳のミチ=写真=の確かな存在感が共感を誘い、静かな迫力を醸し出す。ホテルの清掃員として働き、同じ年代の同僚たちに寄り添いながら、つつましく暮らしている。だが、高齢を理由に解雇となり、住まいも立ち退きを迫られると、身寄りのないミチは生きるよすがを急に奪われてしまう。「みんな年を取るのにね」とのせりふが、身につまされる。
孤独な老人たちの生活を追う一方、PLAN75の申請窓口で働く市役所の職員ヒロム(磯村勇斗)をはじめとする若者たちが覚える理不尽さや葛藤も丹念に描いている。
監督・脚本/早川千絵
製作/日本・フランス・フィリピン・カタール、1時間52分
2022年6月17日公開 | 2022年6月17日神奈川新聞掲載
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