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松山バレエ団の代表作「ロミオとジュリエット」 鎌倉芸術館で26日に公演 平和への祈りを込めた舞台届ける

森下洋子が団長を務める松山バレエ団(東京都港区)の公演が26日、鎌倉芸術館(鎌倉市)で開かれる。演目は代表作の「ロミオとジュリエット」。世界の厳しい現実を背景に、平和への祈りを込めた舞台を届ける。
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」は、バレエでも多くの演出が存在する。同バレエ団では総代表・清水哲太郎の演出で1980年に初演した。以来上演を重ね、森下は「宝物のような作品。こうして続けてこられたのはものすごい喜び」と目を輝かせる。

演出や振り付けなどを手がける清水にも思い入れの深い一作だという。「人間の業と人に対する愛情にあふれたシェークスピアの物語と、プロコフィエフの美しい音楽が融合している。この素晴らしさをぜひ舞台化したいとの思いで取り組んできました」
400年以上前に書かれた戯曲だが、今だからこそ響く普遍的なメッセージがあると2人は言う。実はペスト下で展開する物語で、感染症への不安が新型コロナウイルス禍の現在と重なる。憎み合う両家の争いと当時の混乱は、今も絶えない戦争や差別に通じるとし「作品が訴える力はすごく大きい」(清水)。

公演は森下をはじめ計11人が主演する特別バージョン。場面ごとに出演者が変わるユニークな演出だ。ロミオとジュリエットは世の中に対し明確な批判精神を持つ。強い意志と主体性を秘めた互いの内面に引かれ合ったとの人物像を、出演者全員で共有する。
注目は、バレエ団の実力者たちが主役を担うダイナミズム。ジュリエット役の一人、佐藤明美は「ジュリエットとロミオの気持ちをバトンに託すように、最後までつなげていくのが見どころ」と話す。
ロミオとの出会いのシーンに出演する森下も心して役に臨む。「ジュリエットは心が純粋で、大変なたくましさと強さを持った女性。何度も演じているけど踊る度に勉強しています」。舞踊歴70年を迎えた今も、稽古を欠かす日はない。学びと訓練の日々が「幸せで仕方ない」のだという。
原爆投下から3年後の広島で生まれ、争いのない世界を切に望む森下は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻にも胸を痛める。「両国にはバレエ仲間が大勢いる。平和への祈りを込めて舞台に立ちたい」
いかなる時も愛情と希望を捨てず突き進むロミオとジュリエットの姿を通じ、分断が深まる時代に一石を投じる思いも作品に乗せる。

「美しいとか技術がすごい、ということよりも、少しでも心が洗われた、来てよかったと思える舞台にしたい。全員で迫力を持ってお届けします」
午後2時開演。S席1万円ほか。問い合わせは松山バレエ団電話03(3408)7939。
2022年8月3日公開 | 2022年8月3日神奈川新聞掲載
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