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横浜銀蠅◆ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編)

作詞・作曲/タミヤヨシユキ
作詞・作曲/タミヤヨシユキ

 “ツッパリ”のツの字もない人生を送ってきました。アパートの部屋に掛けたツッパリ棒が、非力のため崩れたりすることはよくあるのですが…。しかしツッパリの皆さんには結構かわいがられた記憶が。ぼくの学生時代には、リーゼントにぶっといズボンの方々がまだうようよしていて、校舎の裏、紫煙の国から手招きされることしばしば。悲喜こもごもな思い出ですが、コワイ半面、彼らに人情家な一面を垣間見ることがよくありました。

 そんな不良=お人よしのイメージに貢献? したのが、横浜銀蝿(ぎんばえ)ではなかったかと。リーダー・嵐(らん)さんの訃報で、あらためて耳にした「ツッパリHigh School Rock’n Roll(登校編)」(1981年・昭和56年)は、とてもよくできた歌謡曲であり、コミックソングとも解釈できた次第です。

 先に校舎裏で…と申しましたが、ぼくよりちょっぴりお兄さんな銀蝿さん世代は、もっと純朴。歌詞をひもとくと、電車のトイレに隠れて“一(ひと)駅だけのハッピータイム”にもくもくといそしんだり(ノックしたらすぐに出てきそう)、慌てて学校に駆け込むも“またまた遅刻で今日も呼び出し”されたり(とぼとぼ職員室に向かってそう)。ある意味での「生真面目さ」がうかがえます。遅刻の理由も、きっとリーゼントの作製に時間がかかったのでしょう。


(1982年、山下公園。神奈川新聞社撮影)
(1982年、山下公園。神奈川新聞社撮影)

 そう、たばこといえばこんなエピソードも。弟分・嶋大輔さんがデビューの際、嵐さんはこのようにコメントされたとか。「コンサートをやった時、トイレで煙草(たばこ)吸ってるガキを注意したことがあってね。そいつが、この大輔です」自分らで歌っておいて、後輩には注意! しかしこれは嵐さんから舎弟への気遣い=“優しいヤキ”を入れたのだとも。こうして「愛すべき不良」として世に受け入れられた嶋大輔さんもまた、「男の勲章」でブレークを果たせたのだから。

 ドカン、ヨーラン…歌詞のノッケからインパクト絶大のこの歌ですが、そのファッションにしても、礼儀正しさが。そもそもが応援団の服装を基調としており、例えば「ヨーラン」は丈の長い学生服を指しますが、これは一礼した際にお尻がみえないようにとの配慮なのだとか。リーゼントとて、銀蝿さんのは正式には「ポンパドール」。フランス貴族の女性の間で流行した、気品あふれる社交性に富んだ髪形なのであります。

 で、わからなかったのが“タイマン張りましょ 赤テープ同士で”。赤テープ? 調べたところ、これを学生カバンの取っ手に巻くことで「ケンカ売ります」の意思表示になるのだとか。この場合、売る者同士ではケンカにならない? ほえあっている散歩犬のようなほほ笑ましさが浮かびます(違うかな?)。


絵/タブレット純
絵/タブレット純

 とにかくも銀蝿が世に訴えるのは、途中台詞(せりふ)で語られる「人にはそれぞれあった道ってもんがあるんだよぉ~」に集約される、“はぐれ者たちへの愛”ではないでしょうか。その結束力は今も堅く、「還暦編」などさまざまなバリエーションを経た「在宅自粛編」では、こう紡がれます。“騒ぎが収まりゃみんな一緒に 三密上等! 弾(はじ)けよう!”。

 世界全体が不安という“はぐれ者”になった今、今こそ世間に、不器用な愛を。頼れる嵐は吹き過ぎてしまったけれど、銀蝿から、銀映えの髪よ咲き誇れ! と、エラソーに締めくくって原稿を入れたぼくのかばんの取っ手には、月末ゆえ、金のテープが巻かれています(金欠の意だそうです~)。


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