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国内外の気鋭の振付家が放つダンスの魅力 Kバレエカンパニーが、複合文化施設Bunkamuraと共同プロジェクト

熊川哲也率いるKバレエカンパニー(東京)が、複合文化施設Bunkamura(同)と共同で「Opto(オプト)」と銘打ったプロジェクトを始動する。国内外の気鋭の振付家によるオリジナル作品などを通じてダンスの魅力を広げる試みで、30、10月1の両日に横浜で旗揚げ公演を行う。
「プティ・コレクション」と題しコンテンポラリー3作品を上演する。「プティ」はフランス語で小さい、あどけないといった意味だが「この言葉には多彩なストーリーが秘められている」と、プロジェクトを指揮する同カンパニー舞踊監督の渡辺レイは話す。「かわいらしさと共存する強さや裏側に潜む美しさを表現したいと思ったんです」
2011年に発表されたメディ・ワレルスキー作「プティ・セレモニー(小さな儀式)」はアジア初演。森優貴作「プティ・メゾン(小さな家)」、渡辺作「プティ・バロッコ(小さな真珠)」はともに初披露。いずれもタイトルに「プティ」がつきながら、躍動感あふれるエネルギッシュなダンスが見どころだ。
「プティ・バロッコ」のテーマは、他者が押し付ける完璧な女性像をいかに覆すか。「女性をかわいらしさや弱さといったイメージだけで見ないでほしい」との思いから、女性の内面の強さを身体で表現する。

本作は16世紀末以降に欧州で広まったバロック美術から着想を得ている。渡辺は「音楽や絵画などルネサンスの均整の取れた芸術に対して、バロックはゆがみにも美を見いだした。均整が取れたものからゆがんだ時代に入った時の人間の心理にも興味があったんです」。
同カンパニーの一流ダンサーたちが出演。「とにかく動きが激しい。ダンサーのフィジカルが限界に達するエネルギーを見てみたいと思って振り付けた。見た人の心にも何か感じるものが絶対にあるはずです」
クラシックバレエを極めている同カンパニーだからこそ、コンテンポラリーの演目に挑む意味は大きい。コンテンポラリーを敬遠するバレエ愛好家にも公演に注目してほしいと話す。
「現代舞踊は難しいと感じるクラシックバレエを見慣れたお客さんにとっても、見応えのある演目を披露できる。コンテンポラリーに触れる入り口の公演になると思います」
「固定観念なしに劇場に来てもらいたい。ダンサーの力強さに触れながら、自分がそこにいるかのように楽しんでもらえたらうれしいですね」
「ダンスの深層を探る」をコンセプトに、ドラマ性や哲学性のある作品を生み出すことを目指す同プロジェクト。今後もジャンルにこだわらず、多彩なダンスを発表しながら同カンパニーの新たな一面を見せていくという。
会場はKAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)。両日とも午後0時半と同5時半開演の計4公演。S席9千円、A席7500円ほか。問い合わせはBunkamuraチケットセンター電話03(3477)9999。
2022年9月14日公開 2022年9月14日神奈川新聞掲載
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