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海外アーティストによるクラシックの名演 この秋、横浜の舞台を彩る

この秋、聴き逃せない海外アーティストによるクラシックの名演が、相次いで横浜の舞台を彩る。県立音楽堂(横浜市西区)では、29、30日の2日にわたって謎に満ちたヘンデルのオペラ「シッラ」を上演。間もなくリニューアルオープンする横浜みなとみらいホール(同区)には11月9日、5年ぶりの来日となるボストン交響楽団が登場する。
□日本初演のオペラ
オペラ「シッラ」は、世界的にもこれまでに上演された公式な記録がほとんど残っていないため、謎に満ちたオペラといわれる。「水上の音楽」などで知られる英国のヘンデルが作曲。ローマに実在した暴君ルキウス・スッラがモデルの物語だ。
音楽監督は指揮、バイオリンも務めるファビオ・ビオンディ。1990年に結成したイタリア・バロック音楽アンサンブル「エウローパ・ガランテ」を率いる。「何よりもその音楽が素晴らしい。ヘンデルの音楽の最も美しい部分が凝縮したようなオペラ」とビオンディ。「権力者のおかしさを描いたこの作品は、まさに現代の社会にもぴったり当てはまるもの」という。
演出の彌勒忠史(みろくただし)は、日本初演に当たってイタリアのビオンディを訪ね、作品の背景や意図、目指したいイメージなどを数時間にわたって語り合ったといい、その基本イメージを歌舞伎に求めた。2020年に来日した際は、コロナ禍で初日の3日前に公演中止となった経緯があり、20年版に磨きをかけた舞台を準備している。
□マーラー、死を予感
ボストン交響楽団は、マーラー「交響曲第6番」を披露する。同楽団の音楽監督を務めるアンドリス・ネルソンスが指揮。両者はグラミー賞を3度も受賞し、ベストコンビネーションとして高く評価されている。
ネルソンスは同楽団について「米国で最も歴史の古いオーケストラの一つとして、ヨーロッパの音楽の伝統の影響を示すと同時に、そのレガシー、組織の構成、レパートリーは、アメリカのオーケストラの特色も反映している。音楽家たちはそれぞれ最も高い芸術的な水準に到達しており、お互いに息がぴったり合い、どんな難しい曲でも─アメリカ人による新作であれ、定番のレパートリーであれ─立ち向かえる」とコメントを寄せる。
同曲については「マーラーはおそらく自分の死について思いをめぐらせていたのだろう」と推測する。
「きわめてパーソナルで心動かされる作品。始まりも終わりも同じ短調で、フィナーレには有名なハンマーの打音も含まれる。マーラーはハンマーの音を用いることにより、ある意味では自身の『悲劇的』な将来を先取りしているともいえる。確かに、このあと彼の人生は、ウィーン宮廷歌劇場の職からの解任、健康状態の悪化、そして娘の死という大きな打撃に直面したのだ」と語っている。
「シッラ」全3幕は、10月29、30日とも午後3時開演。開場中にビオンディと彌勒によるプレトークあり。全席指定S席1万5千円ほか。問い合わせはチケットかながわ電話(0570)015415。
「KDDIスペシャル アンドリス・ネルソンス指揮 ボストン交響楽団」は、11月9日午後7時開演。全席指定S席3万3千円ほか。問い合わせは横浜みなとみらいホールチケットセンター電話045(682)2000。
2022年10月19日公開 | 2022年10月19日神奈川新聞掲載
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