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戯曲
劇作家、山内ケンジ演出の戯曲がKAATに初登場 「温暖化の秋 -hot autumn -」
- KAAT神奈川芸術劇場

演劇プロデュースユニット「城山羊(しろやぎ)の会」を主宰する劇作家、山内ケンジ演出の戯曲がこの秋、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)に初登場する。11月13日から新作「温暖化の秋─hot autumn─」を上演。不条理さをにじませるせりふの応酬から、人間の滑稽なさまを描き出す。
女は男と婚約している。ところが男は別の女と二股をかけていた。嫉妬と不安に駆られた女は男を追及する。通りすがりの夫婦、親戚の男、若いカップルらともひりひりした会話を展開。それぞれの感情からにじみ出る独特のユーモアが観客を引き込んでいく。
昨年はワクチン接種後の発熱を題材にした舞台「ワクチンの夜」を都内で上演。今作も新型コロナウイルスの感染拡大が物語のベースにあると山内は言う。マスクを着けているか、検査の結果は陰性か。コロナ禍で他者に神経質になる人物も登場する。
「別役実のような不条理劇のトーンがある」と作品を評する山内は、嫉妬や疑念が渦巻くダークサイドな側面からどれだけコミカルな要素を物語に盛り込めるか、創作において常に考えていると明かす。
「僕は現代劇を書いているから、コロナの現状を扱うことをすごく意識しています。マスクで生活する人の、今までとは違う鬱屈(うっくつ)した感覚。そういうリアルな心理状態を取り上げたいと思った」。その過程でさらに描きたいのが、人間の滑稽さなのだという。
岡部たかし、岩谷健司ら城山羊の会の常連メンバーに加え、初出演となる俳優、趣里やお笑いコンビ「シソンヌ」のじろうらバラエティーに富んだ演者が顔をそろえる。「『城山羊』で初めて演じる役者さんが、舞台上でどう生きているかが見どころです」
「普通の劇作家の人たちとは成長の仕方が違う」と自身を語る山内は、かつてはCMディレクターとして数々のヒット作を演出。45歳で演劇に軸足を移し、2006年に城山羊の会を立ち上げた。14年に上演した「トロワグロ」で岸田國士戯曲賞を受賞するなど活躍を続けるほか、映画監督としても独特の存在感を放っている。
稽古で役者の動きを見ながら台本を肉付けしていくことが多い山内は、今作でも試行錯誤を重ねて戯曲を作り込む。
「抽象的な世界の中でリアリティーのある心理を描くのが難しい。その場その場の自然な会話を大事にしつつ、思ってもいなかったところに話が移っていく。そんな作品にしたいですね」
11月27日まで(17、24日休演)。料金は一般6千円ほか。13~16日は早期割引で5千円。県内在住・在勤者は18日以降5400円。出演者は他に橋本淳、東野絢香、笠島智。問い合わせはチケットかながわ電話(0570)015415。
2022年10月26日公開 | 2022年10月26日神奈川新聞掲載
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