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映画「Yokosuka1953」 戦後の混乱、生き別れた母探し

戦後の混乱期に、横須賀で米国人の父と日本人の母の間に生まれた女性が、生き別れた母親を探す姿を追ったドキュメンタリー映画「Yokosuka1953」が、新宿K's cinemaで上映中だ。
女性の名前はバーバラ・マウントキャッスル。5歳で米兵の養女となり、1953年に横須賀から米国へと海を渡った。日本名は木川洋子、母の名は信子。
バーバラの娘が、和歌山大教授の木川剛志(つよし)の名前を交流サイト(SNS)で検索し、同じ姓という理由で親族ではないか、と連絡を取ってきたという。
木川には該当する親戚がいなかったが、空襲を研究し、戦災孤児について調べてもいた。ちょうど5歳の子を持つ親でもあり、何かの縁を感じて、力になろうと奔走する。そのいきさつを収めた同作は、木川の初監督作品に当たる。
木川信子を探す過程は、戦後の女性たちが置かれた厳しい状況をたどることと重なる。戦後の占領下、県内では進駐軍と日本人女性の間に生まれた「混血児」と呼ばれる多くの子どもたちが暮らしていた。横浜市中区の根岸外国人墓地で、そうした赤ん坊らを葬った小さな墓があったと郷土史家が話す場面も登場する。
バーバラが幼い日を過ごした横須賀市秋谷では、当時を知る人々を探し当て、さらにバーバラが来日する費用をクラウドファンディングで捻出する。
木川は「木川という名字の縁だけで横須賀の街を何度も歩きました。戦後混乱期の日本を色濃く表していたのが53年の横須賀でした。人間の醜い営みと悲しみ、しかしだからこそ、そこには人間の強さと美しさがありました。映画で一緒にそれを感じてほしいです」と話した。
2022年11月9日公開 | 2022年11月9日神奈川新聞掲載
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