かながわの「今」を楽しむ神奈川新聞の情報サイトイマカナ

  1. ホーム
  2. 気になる
  3. 映画「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」 胸が熱くなる優しくて温かな愛の物語

気になる 映画
映画「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」 胸が熱くなる優しくて温かな愛の物語


 19世紀末から20世紀にかけて、英国で大人気となった猫のイラストがある。大きな目と擬人化が特徴的で、お茶を飲んだり、スポーツに興じたり、とさまざまなポーズをとっている。画家ルイス・ウェイン(1860~1939年)が描いたもので、夏目漱石の「吾輩は猫である」で、苦沙弥(くしゃみ)先生が眺める猫の絵はがきは、このウェインの作品だという指摘がある。

 映画「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」は、家族を養うために生活に追われ、後半生では精神疾患を発症したウェインの波瀾(はらん)万丈の人生を、妻と猫との温かな関係を軸に描く。

 父亡き後、母と5人の妹を養うために週刊新聞に挿絵を描くウェイン(ベネディクト・カンバーバッチ=写真左)。動物の品評会で牛を描くために柵の中に入り、怒った牛にピーナツを投げ与えた変わり者だ。一家の長として頼りにされる一方、電気に関する特許を取りたいと夢見ていた。



 幼い妹たちのために雇った家庭教師のエミリー(クレア・フォイ=同右)と恋に落ちたウェインは、周囲の大反対を押し切って結婚。だが、エミリーが乳がんに侵されていると判明する。2人の生活の慰めとなったのが、猫のピーターだ。当時、ペットとしては認められていなかった猫の愛らしさを描いたウェインの絵は、新聞に掲載されて大人気に。エミリーは「自分がいなくなっても描き続けるように」と言い残す。

 経済観念に乏しく、原画を売る時に版権も渡してしまったため、大量の絵はがきが世に出回ったにもかかわらず、ウェインは生涯貧しかった。抱えていた精神的な問題を巧みな視覚表現で描き出しており、画家の複雑な内面が垣間見える。

 カンバーバッチは両手でスケッチしたウェインの技をマスターし、絵を描く場面は自らこなしたという。ピーターをはじめとする猫たちの表情が自然で、愛らしい。CGを使っておらず、猫好きは必見の映画だ。

 ウィル・シャープ監督。12月1日からkino cinema横浜みなとみらいで上映。

2022年11月30日公開 | 2022年11月30日神奈川新聞掲載

オススメ記事⇩


MOVIE EYES映画「シスター 夏のわかれ道」 すべての人に贈る希望の物語

中国の一人っ子政策と家父長制を背景に、自立を追い求めて生きる女性の葛藤を緻密に描写した名作。 看護師として働くアン・...

MOVIE EYES映画「夜明けの詩」 観る者すべてに寄り添うヒーリングストーリー

冬のソウルを舞台に時間の経過や記憶、老い、死といったイメージを会話で広げながら、その向こうにある確かな生を問い、叙情...

シネマ散歩日本映画史に残る感動ヒューマンミステリー 映画「ある男」

横浜ブルク13などで上映中。 愛し合って結婚し、子どもも成した夫が、名前も過去も偽った、全くの別人だった─。男の正体を...


この記事に関連するタグ

シェア、または新聞を購入する

推しまとめ

かながわの地域ニュースなら
「カナロコ」

「神奈川」の事件・事故、話題、高校野球をはじめとするスポーツなど幅広いローカルニュースを読むなら、地元新聞が運営するニュースサイト「カナロコ」がおすすめ。電子新聞が読めたり、便利なメルマガが届く有料会員もあります!

ニュースサイト「カナロコ」へ

アクセスランキング

人気タグ