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ピアニスト・藤田真央 チケット完売、大人気のワケ

2019年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位を受賞して以来、世界で注目を集めているピアニストの藤田真央(24)。国内外の数々のオーケストラとの共演や音楽祭に出演するなど、華々しく活躍している。
県内をはじめ、世界各国で演奏会がめじろ押しの藤田に、自身の演奏や5月に亡くなった恩師・野島稔との思い出を聞いた。
■独自の解釈
現在、ベルリンを拠点に世界を飛び回る藤田。来年1月9日のミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)、同21日の鎌倉芸術館(鎌倉市)、2月25日の横浜みなとみらいホール(横浜市西区)と、県内3カ所で予定されているコンサートはチケットが完売しており、高い人気ぶりを示している。
藤田の演奏で話題になるのが、美しく豊かな音色とあいまった独自の解釈だ。
「『面白い解釈だね』とよく言われますが、楽譜に書いてある通り、流れの通りに弾いているつもり」だという藤田。
「有名な曲では、楽譜には書いていないのに、『ここはゆっくり弾くよね』といった風潮が定着してしまっているところがある。だから、譜面通りに弾くと面白いと言われるのでは」
今年10月にピアノソナタ全集をリリースしたばかりのモーツァルトも「スラーやレガートなど、全て楽譜通り。もちろん音色やバランスは考えるが、突拍子のないことはやっていない」と話す。
■ゆかりの地で
3月にミラノ・スカラ座でデビュー公演、8月はルツェルン音楽祭(スイス)に招かれ、各地で高い評価を受けた。来年1月25日には、米カーネギーホールでのデビューを控えている。
同ホールでの演奏と全く同じプログラムを披露するのが、1月19日の横須賀芸術劇場(横須賀市)での公演だ。
横須賀は高校入学から大学卒業まで師事した師匠、野島のゆかりの地。既にコンサート活動から身を引いていた野島だが、一音一音にこだわってピアノに向かう背中から「こうやって音を作っていくんだ」と学んだという。
「1小節に30分かかり、レッスンが進まなかった。それほど一つの音を出すときの音色、バランスを考えて弾くので、演奏の全てに無駄がなかった。その音楽に対する姿勢は今の私の根拠になっている」
プログラムは「名刺代わりに」というモーツァルトの「ピアノ・ソナタ第9番」や、リストの「バラード第2番」、ブラームスの「主題と変奏」など。亡くなる前に交わした最後の電話で、野島は「君のリサイタルが聴きたいな」と話していたという。「この機会に何か形として残しておきたかった」と藤田。演奏後には、野島と親交のあった音楽評論家の梅津時比古と、野島の思い出を語るアフタートークも行う。「アフタートークなんて初めてですよ」と笑った。
※チケット情報 1月19日の「藤田真央ピアノ・リサイタル」は午後6時半開演。S席6千円ほか。問い合わせは横須賀芸術劇場、電話046(823)9999。
6月27日、ミューザ川崎シンフォニーホールでラハフ・シャニ(指揮)、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団とラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏する。チケットは2月発売予定。問い合わせは神奈川芸術協会、電話045(453)5080。
2022年12月14日公開 | 2022年12月14日神奈川新聞掲載
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