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朗読劇
横浜大空襲の朗読劇、高校生と上演 俳優・五大路子「全ての10代に伝えたい」

横浜出身の俳優・五大路子が率いる劇団「横浜夢座」。横浜大空襲の惨状を若い世代に伝えたいと、体験談を基にした朗読劇「真昼の夕焼け」を、11月に県立神奈川総合高校(横浜市神奈川区)で生徒と共に上演した。
在校生や保護者ら約50人が観覧し、身近な場所で起こった77年前の悲劇に思いをはせた。
1945年5月29日午前、東神奈川駅近くで空襲に遭った15歳の中学生・健二が、たまたま出会った少女と市内を逃げ惑う物語。詩人で横浜詩人会元会長の故・筧(かけい)槙二さんが、自らの体験を反映させた短編小説を、同劇団がオリジナルの朗読劇に仕立てた。
身を潜めた防空壕(ごう)から決死の思いで飛び出した健二は、少女と一緒に焼夷(しょうい)弾が降り注ぐ中を逃げ回る。空を覆う黒煙の隙間から火災の炎がのぞき、真昼なのに夕焼けのように見えたという。
五大が抑制の利いた低い声で語るナレーションが、悲惨な状況をかえって際立たせる。

上演に当たっては、同校の普通科と舞台芸術科に在籍する生徒6人が、舞台監督や音響、照明を担当した。
普段は校内の演劇や吹奏楽といった部活動が行う舞台発表をサポートしているが、プロの劇団との共同作業は初めて。上演後は、劇団員とのパネルディスカッションに生徒が登壇した。
朗読劇を初めて体験する生徒が多く、「東神奈川駅をいつも使っている。毎日のように見ている場所が悲惨な空間になったことが、実際に目で見るより想像できて心に刺さった」「自分の頭の中で完成されていくのが面白かった」などの感想が語られた。
また、舞台関係の道に進みたい生徒からは「勉強になった」「貴重なゼロ歩目を踏ませてもらった」と感激の声も上がった。
五大は「今日は涙が出るほどうれしい気持ち。言葉で語りかけることで、全く違う『真昼の夕焼け』がそれぞれの中に広がり、空襲の恐ろしさが感じられると思う。横浜の全ての10代に伝えるのが、私の念願」と今後の活動に意欲を見せた。
2022年12月14日公開 | 2022年12月14日神奈川新聞掲載
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