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現代アート
広がる幻想的な光の世界 そごう美術館で「ゆるかわふうの世界」
- そごう美術館(横浜市西区)

建築物の内側に使われる青い断熱材を素材に、独自の「光彫り」の作品を手がける現代美術家、ゆるかわふう(42)=湯河原町在住=の「光の芸術家 ゆるかわふうの世界 宇宙(そら)の記憶」展が、そごう美術館(横浜市西区)で開催中だ。
県内では初めての大規模展覧会で、横浜を題材にした新作を含む約30点を展示。断熱材が持つ色を生かし、生き物や自然を彫り青の濃淡で描いた幻想的な光の世界が広がっている。
「光彫り」は、ゆるかわが生み出した技法。発泡断熱材の背後から発光ダイオード(LED)照明を当て、表面を工具や薬品などで削ったり、溶かしたりして絵を描く。
制作時にできた凹凸によってできる陰影で、動植物や風景を表現。暗闇の中で青く輝く作品には、絵画や彫刻、レリーフとも異なる立体感や奥行き、質感があり神秘的だ。

東京芸大で建築を学んだゆるかわにとって、建築模型で使う断熱材はなじみ深い素材だという。同大大学院時代の2008年にグループ展で最初の作品を発表。以来、絵の具では表現できない透明感のある青色に魅せられ、創作を続ける。「断熱材は省エネに役立つが、普段は見ることがほとんどない。身近に隠れている素材に美を見いだすのがアート」と作品への思いを語る。
会場には大作から繊細な小品まで並ぶ。クジラの親子が連れ立って泳ぐ姿を描いた「YOU GOT WATER 01」(15年)は、高さ1.8メートル、幅5.5メートルの大画面の作品。
横浜での開催に合わせて制作した新作「I’m flying」(22年)は、クルーズ船「飛鳥Ⅱ」が停泊する横浜港大さん橋国際客船ターミナルの風景を描いた。画面には、ワンピース姿の女性が傘を手に軽やかに空を飛ぶような姿もあり、柔らかい風も感じるようだ。

複数枚を組み合わせた断熱材に乳白色のアクリル板を張り、繊細な光のグラデーションを生み出す新シリーズも展示。空や雲、太陽の光、山、水など多彩な自然の美を想像させ、新たな世界が見えてくる。ゆるかわは「これまでの代表作と新作を一度に鑑賞できる貴重な機会。ぜひ実物を見てほしい」と話す。
25日まで。一般1200円ほか。問い合わせは同館、電話045(465)5515。
2022年12月19日公開 | 2022年12月19日神奈川新聞掲載
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