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展覧会
そごう美術館で片岡球子展 「面構」シリーズにスポット
- そごう美術館(横浜市西区)

大胆で鮮やかな画風で知られ、神奈川ともゆかりの深い日本画家、片岡球子(たまこ)(1905~2008年)の「面構(つらがまえ)」シリーズに焦点を当てた展覧会「面構 片岡球子展 たちむかう絵画」が、そごう美術館(横浜市西区)で開かれている。
同シリーズは1966年、片岡が愛知県立芸術大学の日本画科主任教授就任を機に、新たな決意を持って挑んだ作品群。片岡がライフワークとして取り組み、2004年までの38年間で44点を制作した。同展では再興院展に出品した42点や初公開となる小下図などが展示されている。
シリーズで描かれている人物は、足利尊氏や浮世絵師・葛飾北斎など多くの歴史上の人物。いずれも、片岡が独自の解釈で表現した。独創的な構図と鮮やかな色彩が印象的で、描かれた人の魂までも画面に表現しようとした片岡の思いが伝わる。
出品作品の一つ、「面構 浮世絵師歌川国芳と浮世絵研究家鈴木重三先生」は、幕末の絵師と、現代の近世国文学・浮世絵研究者を組み合わせたユニークな作品。背景にあるのは、国芳の風俗画「七浦大漁繁昌之図」。捕鯨船に囲まれた巨大なクジラが激しく体をくねらせ、潮を吹き上げる様子を女や子どもらが岸辺から見守る様子がダイナミックに描かれている。「七浦─」は鈴木の所蔵作品。研究者であり収集家でもあった鈴木の元を度々訪れて浮世絵を学んだ片岡は、この絵に魅せられたという。今展では、貴重な小下図と見比べることで制作の過程をたどることができる。
会場には、片岡がかつて勤務した横浜市立大岡小学校が所蔵する2点も特別展示している。同館の大塚保子主任学芸員は「これだけの点数の作品が一堂に会す貴重な機会。伝統を踏まえながらも現代的な日本画に挑み続けた片岡の表現の変化にも注目してほしい」と話す。
29日まで。一般1400円、大学・高校生1200円、中学生以下無料。問い合わせは同館、電話045(465)5515。
2023年1月23日公開 | 2023年1月23日神奈川新聞掲載
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