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シネマ散歩
出会いは〝刑事と容疑者〟のはずだった… 映画「別れる決心」

17日から109シネマズ港北などで上映。
ラストシーンの切なさが、いつまでも忘れられない純愛映画。と同時にスリリングなサスペンス映画でもある。パク・チャヌク監督らしい凝ったカメラアングルが、謎めいた雰囲気を醸し出している。
物静かで礼儀正しい刑事ヘジュン(パク・ヘイル=写真手前)は、史上最年少で警部になった切れ者。不眠症で長年悩んでおり、地方にある原子力発電所で働く妻とは週末だけ会う生活を続けている。
登山中に転落死した男の事件を担当したヘジュンは、男の若い妻ソレ(タン・ウェイ=同奥)を疑うが、事情聴取や監視を続けるうちに、引かれ合ってゆく。刑事としての自負とソレへの思いに悩むヘジュン。やがて2人は別れるが、ソレは別の男の妻となってヘジュンの前に再び現れる。
2人が心を通わせていく過程に、言語の違いをうまく取り入れた。ヘジュンと中国出身で片言の韓国語を話すソレとの会話は、分かりやすい単語を選んだり、翻訳アプリを活用したりして行われる。相手を思いながらのやりとりとユーモアあふれる言葉の選択が、2人の愛を深めたのかもしれない。
物語は、ヘジュンを深く愛するソレの思い切った決心によって、思いも寄らない方向へ進む。その成り行きに心を揺さぶられた。情趣豊かな韓国の懐メロ「霧」が、作品全体をノスタルジックに包んでいる。
監督/パク・チャヌク
製作/韓国、2時間18分
2023年2月10日公開 | 2023年2月10日神奈川新聞掲載
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