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　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜などで上映中。

　昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。階級社会やルッキズム（外見至上主義）など、社会がはらむ不公正に痛烈な皮肉とユーモアを浴びせる衝撃作だ。

　豪華客船の旅に出た人気ファッションモデルのヤヤ（チャールビ・ディーン＝写真左）と恋人のカール（ハリス・ディキンソン＝同右）は、船内で富豪や武器商人ら桁外れの資産家と出会う。傍若無人な客を笑顔でもてなすのは、高額チップを狙う白人の乗務員。下層階では有色人種のスタッフが黙々と業務をこなしている。そんなある夜、船が難破する一大事が発生。海賊に襲われた一行は無人島へと流れ着く。

　食料がない極限状態の中、船でトイレ清掃員として働いていた女性、アビゲイル（ドリー・デ・レオン）がヒエラルキーの頂点に君臨。ただ一人漁や火起こしなどのサバイバル能力を発揮し、周囲を支配下に置き始める。

　毒と風刺、過激なコメディーが痛快さを演出。金にものをいわせる富裕層と「持たざる者」の逆転劇が鮮やかに描かれる。人間の欲深さや強者の振るまいをきれい事抜きに映す上、ひどく下品な場面が居心地を悪くするが、資本主義や男女の役割、格差を巡る問題提起が随所に光る。

　中盤の「地獄絵図」は傲慢（ごうまん）な乗客に同情すらしたくなるすさまじさ。見る者の想像にゆだねるラストを含め、鮮烈な印象を残す。

監督・脚本／リューベン・オストルンド
製作／スウェーデン・ドイツ・フランス・英国、２時間２７分

2023年2月24日公開　｜　2023年2月24日神奈川新聞掲載

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