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　１０日からＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜などで上映。

　人生に絶望した男性が、思いがけない出会いから生きる希望を見いだしていくスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」をハリウッドでリメーク。朗らかなイメージのトム・ハンクスが、眉間にしわを寄せた主人公を演じた。１ミリずつ目盛りがずれるような、細かい内面の変化を自然に演じた姿に引き込まれる。

　アメリカの小さな町で暮らすオットー（ハンクス＝写真）は、近隣住民がルール違反をしていないかパトロールするのが日課だ。最愛の妻に先立たれ、会社の都合で仕事も失った彼は孤独を抱え、世界を呪うように生きている。ごみの出し方や駐車方法が間違っていると怒鳴りちらす彼を、隣人たちはあきらめ半分で受け入れていた。

　人生を終わらせようと決めた彼は自宅で自殺を試みるが、向かいの家に引っ越してきた家族があいさつに押しかけ断念。陽気な母親のマリソル（マリアナ・トレビーニョ）はその後も彼に食事を届けるなどおせっかいを焼く。小さい娘たちの世話を押しつけるなど、自分を振り回すマリソルにうんざりしていたオットーだが、メキシコ出身の彼女が異国で懸命に生きようとしている姿に心を動かされるようになる。

　登場人物を絞り、彼らの関係性に焦点を当てることで、人生に豊かさを生み出す心のつながりを描ききった。オットー夫婦の青春時代を描いたシーンも美しく、涙を誘う。

監督／マーク・フォースター
製作／米国、２時間６分

2023年3月3日公開　｜　2023年3月3日神奈川新聞掲載

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