推し
日本で初めて弾く曲も
ピアノで奏でる「輝く水」 福間洸太朗、横浜・みなとみらいでコンサート
- 横浜みなとみらいホール(横浜市西区)

人気ピアニストの福間洸太朗(40)が、きらめく水を意味する「Shimmering Water─ストーリーズ」と題したコンサートを11日、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)で開く。自身の名前「洸」にちなみ、光に反射してきらきらと輝く水をイメージさせる曲を集めた。「人間にとって必要不可欠な水。自然との関わりを考えるきっかけになれば」とピアノの音色に思いを託す福間に話を聞いた。
水に関するピアノ曲の紹介は、ライフワークの一つとして以前から取り組んできた。初めて取り上げたのは2012年9月、同ホールでのコンサート。「同じ場所で、また弾かせていただけるのはうれしい」と福間は笑顔を見せる。
ドビュッシーの「水の反映」やショパンの「舟歌」など、ピアノ曲には水に関わる曲が数多く存在する。「私はマニアックな人間なので、知られていない曲を発掘することを喜びとしている」と、今回のコンサートでは10年にポーランド・ワルシャワの楽譜店で発見したルトスワフスキの「ピアノ・ソナタ」を披露する。
「タイトルに水は付いていないが、私の中では冒頭から水の美しい情景が思い浮かんだ曲」。30分近い大曲で、日本で弾くのは初めてだという。
同コンサートは、同ホールが取り組む「Just Composed in Yokohama 現代作曲家シリーズ」の一環で、新作の演奏と過去の委嘱作の再演を軸としている。
福間が演奏する新作は、武満徹作曲賞や芥川作曲賞などを受賞した作曲家・茂木宏文によるもので、ティンパニストの目等(もくひと)貴士と共演する。「ピアノとティンパニの組み合わせは初めて。茂木さんは、日本の山や清流、滝の印象を曲にしたと話されていた。短音から重音、刻みなど、ピンと張り詰めた緊張感がある。西洋音楽の強拍、弱拍にとらわれない拍の捉え方も印象的」だという。
再演する「クリスタリーヌⅡ」を作曲した田中カレンとは、共通の知人を介して知り合った。同曲は以前送られた楽譜の中にあったものだという。「横に長い楽譜で棚に入りきれず、存在感が大きかった。いつか弾きたいと思っていた」と明かす。「田中さんの特徴の一つかなと思う、とても美しい分散和音がたくさんある。光がいろんなところに反射して水が流れる感じを伝えたい」
東日本大震災の発生日と同日のコンサートでもあり、近藤浩平の「海辺の祈り─震災と原子炉の犠牲者への追悼 Op.121」を、左手のためのピアノ曲バージョンで演奏する。「音が少なく、限られた音で響く中に祈りの思いが込められているような作品」だと話す。
「水は必要不可欠であるが、時に恐ろしいものでもある。そんな水の激しさ、繊細さを表すピアノの表現の幅の広さ、音の可能性を堪能していただければ」と来場を呼びかけた。
午後3時開演。全席指定3千円ほか。問い合わせは同ホールチケットセンター、電話045(682)2000。
2023年3月3日公開 | 2023年3月3日神奈川新聞掲載
オススメ記事⇩
この記事に関連するタグ
シェア、または新聞を購入する
- LINE
- URLコピー
- 掲載日付の
新聞を買う
推しまとめ
かながわの地域ニュースなら
「カナロコ」

「神奈川」の事件・事故、話題、高校野球をはじめとするスポーツなど幅広いローカルニュースを読むなら、地元新聞が運営するニュースサイト「カナロコ」がおすすめ。電子新聞が読めたり、便利なメルマガが届く有料会員もあります!