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KAAT芸術監督3年目
芸術監督・長塚圭史が語る、KAAT新シーズンへの意気込み
- KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)

KAATの芸術監督として3年目に入る長塚圭史に、新シーズンへの意気込みや、メインシーズンの新タイトル「貌(かたち)」に込めた思いを聞いた。
2021年4月の就任以降、シーズン制の導入やアトリウムの開放、アーティストがさまざまな発想を試行するプロジェクト「カイハツ」の立ち上げなど、三つの柱を軸に独自色を打ち出してきた長塚。「初年度はひたすら突っ走っていましたが、22年度は掲げた三つの柱の輪郭が少し見え始めた年だった」と振り返る。
昨年の上演作について「どれも思い入れがある」と前置きしつつ、沖縄で生きる若者の葛藤を描いた「ライカムで待っとく」(11~12月上演)を印象深い一作に挙げた。
本作を手がけたのは沖縄県在住の劇作家、兼島拓也。「沖縄が抱える問題は僕ら日本全体の問題ではないのか。兼島さんが突き付ける問いが非常に鋭利だった」。沖縄の日本復帰50年の節目での上演だったが「そこで途切れるのではなく、この先も深く考えていく通過点にしなければならない」と今後を見据えた。
22年度のタイトルは忘却の「忘」だった。「忘れることと向き合う」という、比較的分かりやすかったテーマに比べ、新シーズンでは何通りもの解釈ができる「かたち」を選んだ。
「僕らは目で見たものに頼り、人や物事を分類しながら生きている。それは美醜の問題や、異なる国籍やルーツの人との関わりにもつながる」。私たちは先入観なく「かたち」を捉えることができているのか。「考えれば考えるほど答えが出ないが、だからこそ面白い。人間の在り方を見つめる関連作品を通じて、思考を巡らせたい」
23年度の目標は「考えることを止めないこと」と明言する。「多様な社会を受け止め、この街に必要とされる劇場でなければならない。演劇という枠組みだけで考えると思考は前に進まない。このままの輪郭でいいのか、自問自答を繰り返しながら歩みたいですね」
2023年3月6日公開 | 2023年3月6日神奈川新聞掲載
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