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シネマ散歩
映画「赦し」 同級生殺害、癒やしようのない責め苦

18日から小田原コロナシネマワールド、24日からkino cinema横浜みなとみらいで上映。
クラスメートを殺害した高校生の夏奈(かな)(松浦りょう=写真)。事件から7年後、服役中の彼女に再審の機会が与えられた。娘を殺された苦しみから抜け出せない克(かつ)(尚玄)と元妻の澄子(MEGUMI)は、夏奈の釈放を防ごうと再び裁判の証人台に立つ─。
逃れられない苦しみや怒りを与えた相手を許せるのか。人は犯した罪から、もう一度生き直せるのか。非常に難しい問いを、正面から描く。
夏奈は殺害に至る経緯を話さなかったため、未成年だったにもかからわず懲役20年の刑が言い渡された。実は、ある理由から殺意を抱くほどのすさまじい怒りに支配されていた。それはトラウマ(心的外傷)となり、今も苦しんでいる。再審の場では黙していたその状況を明かし、同じような境遇にある人を助けたいと社会復帰を訴える。
夏奈の心からの謝罪を受けながら、絶対に許せないと息巻く克。小説家としての仕事もせず、アルコールに依存する日々の中で、夏奈への憎悪をひたすら燃やしていた。
一方の澄子は再婚し、「過去にとらわれたままじゃだめ。前を向いて生きていく」と克に言うが、再審に関わることで再び心の傷がえぐられていく。
3人の苦しい心の内が、淡々と描かれる。日本を拠点にするチョウハン監督はインド出身。夏奈だけではなく、克も澄子も精神的な監獄に捕らわれている、という。
監督/アンシュル・チョウハン
製作/日本、1時間38分
2023年3月17日公開 | 2023年3月10日神奈川新聞掲載
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