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玉田多紀の展覧会「ダンボール恐竜の世界」 やまと芸術文化ホールで18日から

段ボールを使った立体作品を手がける造形作家、玉田多紀(39)=埼玉県越谷市=の展覧会「造形作家 玉田多紀展 ダンボール恐竜の世界」が、やまと芸術文化ホール1階ギャラリー(大和市)で18日から開かれる。恐竜をはじめ海や陸の動物をモチーフに、その造形美や性質を独自の視点で捉えた45点が並ぶ。躍動感あふれる生き物たちの姿から、段ボールという身近な存在の可能性も体感できる。
多摩美術大学で油絵専攻だった玉田が、段ボールを素材にした表現に出合ったのは2007年。「ごみだった段ボールが、アイデア次第で木彫りや粘土のような不思議な質感の生き物に生まれ変わる。その面白さに魅了された」と玉田。段ボールの強度と柔軟性を生かし、接着剤でレリーフ状に貼り合わせる独自の技術を編み出した。作品は平面から立体に進化し、これまで手がけた作品は400点以上に上る。

カバやチンパンジー、リクガメが集まる「森の仲間たち」から始まる展示は、中央で「恐竜」が待ち受ける。首長竜をモチーフにした「Independence」は、高さ2・8メートル、幅1・6メートル、奥行き5メートルの大型作品。その迫力は圧倒的な存在感を放つ。
「作り方はシンプルだけど、体力勝負」だという制作は、動物の生態や生息環境といった情報収集から始める。画像や動画で動きや骨格、筋肉のつき方などを観察。イメージが湧くと段ボールを手で丸めたり、つぶしたりして軟らかくして大まかな形を作る。
骨組みにするためにちぎったり、裂いたりした段ボール片や、水でぬらした素材を接着剤で肉付けし、細部を調整。アクリル絵の具で着色することもある。「段ボールに新しい命を吹き込み、生き物としてよみがえらせる作業は楽しい。失敗しても、すぐはがして直せる。古い作品も水にぬらせば、新しい作品の一部として生き返らせることができる」と魅力を語る。数カ月かけて完成した作品は、毛並みや筋肉の質感、しわやたるみまで再現。どれも表情豊かで、今にも動き出しそうだ。

展覧会ではフェニックスをモチーフに、羽根の形に切った段ボールに来場者がメッセージを託す参加型の新作「Messenger」も披露する。会場は年齢制限なく入場でき、すべて撮影可能。子どもが飽きないよう、中に入ったり、抱っこできたりする作品も用意している。5歳の息子の母でもある玉田は「博物館と美術館それぞれの要素が詰まった展示になるよう工夫した。作品に添えるメッセージは毎回変えています。赤ちゃんからお年寄りまで幅広い世代に楽しんでもらいたい」と笑顔を見せる。
2021年に予定されていた今展は、新型コロナウイルスの影響で延期しての開催になった。「コロナ禍を経験し、いい意味で作品は進化した」と力を込める。「さまざまな制限がない久しぶりの春。たくさんの人に足を運んでもらいたい」と呼びかける。
26日まで。午前10時~午後5時(土日祝は午後7時まで)。入場無料(要事前申し込み)。問い合わせは同ホールチケットデスク、電話046(263)3806。
2023年3月16日公開 | 2023年3月16日神奈川新聞掲載
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