気になる 「鵠沼音楽アカデミー」、2月開校 講師の白井圭「自発的に考える場に」
- レスプリ・フランセ(藤沢市)

NHK交響楽団のゲスト・コンサートマスター白井圭(39)が講師を務める「鵠沼音楽アカデミー」が2月、藤沢市のサロンコンサートホール「レスプリ・フランセ」で5日間にわたって行われた。地域に根付いた若手音楽家育成の場として、今後も毎年の開催を予定している。
同アカデミーは、白井がレスプリ・フランセの渡邊みき代表に、開業20周年の記念に地域への社会貢献について相談されたことをきっかけに開講。白井は2歳から欧州へ留学する24歳まで同市で育ち、地域にゆかりがあったことから指導を引き受けた。
受講生11人は、国内外からの応募者約40人を録音審査だけで選抜。現役音大生をはじめ、大学院生、音楽家として活動中の音大卒業生らが集まった。
受講生を組み合わせて弦楽四重奏をはじめクラリネット、バイオリン、ピアノの三重奏、バイオリンの二重奏などさまざまな楽器で六つのアンサンブルを構成。新日本フィルハーモニー交響楽団の首席チェリスト長谷川彰子も賛助協力し、最終日のコンサートを目標に、4日間のレッスンを行った。
アカデミーがユニークなのは、講師の白井が演奏者の一員として必ず参加した点だ。プロの演奏家ならではの視点や自身の音楽へのアプローチを「なるべく近いところで伝えたい」という思いがあり、共に演奏する手法を取った。
「みんな魅力的でとてもよかった」と白井は実力を評価。「レッスンをするというより、自発的に考える場にしたかった。演奏会で弾くとなると、こっちも本気になる。疲れたけれど、楽しかった」と満ち足りた笑顔を見せた。

白井自身は、留学したことで「自分の知らないことの多さ」に気付いたという。「音楽は、文学や建築などと一緒に文化として育まれたものなのに、日本では切り売りされている状態。音大ではそうした知識が教えられていない」。必要な知識を体系的に教える学校を作りたかったといい、地元でのアカデミー始動を「小さな一歩」だと喜ぶ。
コンサートでは、地元住民やクラシックファンら約20人の前でベートーベンやブラームスなどを演奏し、オンラインでも配信された。受講生らは「プロの姿勢を間近で見て、教えてもらうことができてよかった」と口をそろえた。
アカデミーの志に賛同し、サポーターとして受講生の宿泊費や交通費を援助した観客もいた。白井は「社会に出たての若い人たちにはお金はないが、学びたい意欲があり、仲間もつくりたい。お金がないから講座を受けられないということは、なるべく避けたい」。将来的には受講生の負担をゼロにしたいとの考えだ。
渡邊代表も「できれば地元の方々に聴きに来てもらい、広く支えていただきたい」と話す。
アカデミーは来年2月に2回目の開催を予定しており、支援を募っている。1口5千円から。問い合わせはレスプリ・フランセ内の同アカデミー事務局、電話0466(34)3299。
2023年3月22日公開 | 2023年3月20日神奈川新聞掲載
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