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気になる きっかけは巣ごもり、料理本180冊の思い出つづる 赤澤かおりさんが新刊

取り上げた料理本の一部を前にした赤澤かおりさん。洋書や古書店で求めたものもある=鎌倉市
取り上げた料理本の一部を前にした赤澤かおりさん。洋書や古書店で求めたものもある=鎌倉市

 編集者、ライターとして100冊以上の料理本を手がけてきた鎌倉市在住の赤澤かおりさん(54)が、「人生にはいつも料理本があった」(筑摩書房、1760円)を刊行した。収集してきた300冊を超える料理本から約180冊を取り上げ、各料理家のこだわりを紹介しながら、その本にまつわる思い出をつづった。「おいしいものは、日々を楽しくして、元気をくれる。料理本には人生の先輩たちからの励ましが詰まっている」と話す。


 新型コロナウイルス禍で家にこもっていた2020年の初め、本棚の整理をしようとたまっていた料理本に手を伸ばした。だが、気が付けば読みふけってしまい、それぞれの本にまつわる思い出がよみがえってきたという。

 「学生時代に、いつか結婚するときのためにと買った本。実家で暮らしつつ、おしゃれな暮らしへの憧れを抱いた本。1979年、わが家にグリル付きスチームオーブンがやってきた際に付いてきたレシピビック。本を開くと、その当時の自分にぱっと戻れる」と赤澤さん。

 こうした思い出を交えながら、2年半をかけて、それぞれの料理本について思い入れたっぷりの文章でつづった。有元葉子さん、栗原はるみさん、ケンタロウさん、高山なおみさん、飛田和緒さん、石井好子さん、辰巳浜子さん…と、名だたる料理家の著作が並ぶ。


「人生にはいつも料理本があった」(筑摩書房)
「人生にはいつも料理本があった」(筑摩書房)

 赤澤さんにとって、料理本は実用本である以上に、読み物でもあるという。ソファの脇やベッドサイド、トイレにも置いてあり、疲れた時は癒やしを求めてページを繰ることもある。

 「おいしいものを他の人にも伝えたい、共有したいという思い。それは、幸せを人に分けることだと思う。料理本は、料理の技法を教えるだけではなく、人生の先輩たちが生活の中の楽しみを伝えてくれているんです」とほほ笑む。

 子どもの頃から、食べることが好きだった。「『食いしん坊』じゃなくて、『食い意地が張っていた』という方が合う」と笑う。東京の下町で三味線の師匠をしていた祖母が作る天ぷらや煮魚はおいしかった。母も料理上手で「食べることの楽しみを、小さな頃から育んでくれた両親には感謝している」と振り返る。

 「台風の時に冷蔵庫のあり合わせで作ったなとか、お母さんが週末になるとオムライス作ってくれたなとか、多くの人にとって、食べることと思い出は一体化して残っているのでは」。料理家のレシピにもそうした背景を感じるといい、食べることを通して、人生をしなやかに、力強く生き抜く知恵を料理本から読み取っている。「先生方が潜ませているメッセージに励まされます」

2023年3月24日公開 | 2023年3月21日神奈川新聞掲載

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