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神奈川の本屋さんイチ推しの１冊　「もしもワニに襲われたら」

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神奈川の本屋さんイチ推しの１冊　「もしもワニに襲われたら」

「もしもワニに襲われたら」（ジョシュア・ペイビン、デビット・ボーゲニクト著、梅澤乃奈訳／文響社１８４８円）

　ワニだけではありません。野山にはどう猛なヘビやいら立つクマがいるし、海には腹をすかせたサメがいます。出合ったら危険なのは動物だけでなくて、海には海賊がいるし、空では飛行機を操縦しなけばならない事態に陥ったり、脱出してもパラシュートが開かないかもしれません。雪崩や落雷、竜巻や地震などの自然災害も怖いし、町にいても銃撃戦に巻き込まれたり、軍用ドローンに襲われたり、密室に閉じ込められることだって……。

　本書は、こうした普段の生活ではおよそ遭遇しそうもない状況や「もしもネットいじめに遭ったら」「もしもスマホをトイレに落としたら」といったひょっとしたらあるかもしれない７１の危機への対処法を、医者や元軍人、動物学者などの専門家の助言を受けてかなり真面目に解説したもの。「ニシキヘビに巻きつかれたら強く締めつけられないようにゆっくり動かなくてはならない」とか、「ドローンの群れに狙われたら、センサーを混乱させるためにすばやくジグザグに走って、木が生い茂っている場所に急いで移動する。でも、追いつかれたら手遅れ」と対応策を一つ知るたびにほっとします。

　読んで得られるその喜びは、うんちくが増えたからというよりも、想像の世界で危機が回避された安堵（あんど）感ではないでしょうか。ありそうな危機よりも、ありえない危機に関するネタの方が胸躍ります。「もしも後部座席で出産しなきゃならなくなったら」、靴ひもでへその緒を結んで、胎盤の排出に注意を。