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小田原で蓄えた画家のエネルギー 横須賀美術館で朝井閑右衛門の回顧展

  • 横須賀美術館(横須賀市)

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朝井閑右衛門「積藁のある風景」(1928年ごろ、横須賀美術館蔵)
朝井閑右衛門「積藁のある風景」(1928年ごろ、横須賀美術館蔵)

 現在、横須賀美術館では洋画家・朝井閑右衛門(かんえもん、1901~83年)の没後40年を記念した回顧展を開催している。

 朝井は大阪生まれながら神奈川とゆかりの深い画家で、とりわけ「小田原」「横須賀」「鎌倉」を愛して暮らし、それぞれの場所にまつわる象徴的な風景画を残している。今回は、土地と結びつきつつ自由奔放な想像力を駆使して展開させた、朝井の小田原時代を代表する「積藁(つみわら)のある風景」を紹介したい。

 「朝井閑右衛門」、どこか古めかしい名前だが本名は浅井實(みのる)。大阪に生まれ、画家を志して上京、知り合いの家を転々としながら腕を磨いていく。28年に小田原に住み始めた頃には既に「朝井閑右衛門」を名乗っていた。朝井は上京した18歳頃、一時的に本郷洋画研究所で学んだが、その後はほぼ独学で絵を習得していった。20代の決して早いとはいえない修業時期を小田原で過ごしたのである。

 小田原が朝井を強くひきつけた理由に、同世代の気の合う文学仲間の存在が挙げられる。この頃、小田原には牧野信一、川崎長太郎、藤浦洸ら詩人たちがおり、ほかにも彫刻家の牧雅雄、ペンキ屋の山内直孝(画乱洞)ら若い芸術家仲間と交流し、日々酒宴を繰り広げていたという。こうした刺激しあえる友人たちと遊び、かかわり、朝井も画家としてのエネルギーを蓄積させてゆく。

 この時代の作品「積藁のある風景」は、当時の小田原の何げない風景を素直な目で捉えて絵にしている。スケッチのように見たものをさっと描いており、ころんとした形状の積みわら、周りの木々を速写的に筆で表現する様子は、風景がざわざわと動き出すようで、画家・朝井閑右衛門の波乱の人生の幕開けを告げているようである。

(横須賀美術館学芸員・工藤 香澄)

 「没後40年 朝井閑右衛門展」は18日まで、横須賀美術館(横須賀市鴨居)で開催中。一般1300円ほか。問い合わせは同館、電話046(845)1211。

2023年5月22日神奈川新聞掲載

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