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実験的な演奏に感じた、クラシックホールの新たな可能性 横浜みなとみらいホールで開館25周年記念コンサート

  • 横浜みなとみらいホール(横浜市西区)

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即興演奏では演奏者4人が一直線に並んだ(撮影・藤本史昭)=横浜みなとみらいホール

 「Dive into the Future」のタイトル通り、未来へ飛び込むコンサートだった。横浜みなとみらいホール(横浜市西区)の開館25周年を記念する幕開けのコンサートとして、ホールオルガニストの近藤岳がプロデュースし、6月9日に行われた。クラシックホールとは思えない斬新な体験だった。

 出演したのはオルガンの近藤、ピアノのスガダイロー、エレクトロニクスの有馬純寿(すみひさ)、サクソフォンの大石将紀(まさのり)。各ソロや、さまざまな組み合わせによる二つの楽器での演奏で、バッハから現代音楽までを取り上げ、過去、現在をたどりながら、未来の音楽表現をも試みた。

 奏者だけがぼんやりと浮かび上がる程度で、ほぼ真っ暗な会場。客席を囲むように設置された10台以上のスピーカーからは、ノイズ音楽や変調された楽器の音が多層的に響く。オルガンの多彩さや、スガの超絶技巧から繰り出されるピアノの音に目を見張った。

 オランダの作曲家ヤコブTVの「ザ・ガーデン・オブ・ラヴ」では、18世紀の英国の詩人ウィリアム・ブレイクの詩の世界が、断片的に聞こえる朗読と電子音響、サックスで表現され深い思索の空間が広がった。

 圧巻は約30分にわたって繰り広げられた4人による即興演奏。巨大な渦の中に放り込まれたような感覚だった。

 休憩なしの90分間で、各曲の終わりに拍手は受け付けず、緊張感が保たれたまま進行していく。正直、好き嫌いは分かれると思うが、こうした実験的な取り組みが積極的に行われることに意味がある。知られざる音楽体験がまだまだあると思い知らされると同時に、クラシックホールがより多くの人々に開かれた場になる可能性が示された演奏会だった。

2023年7月5日公開 | 2023年7月3日神奈川新聞掲載

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