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新江ノ島水族館大特集②
- 新江ノ島水族館(藤沢市)
もうすぐ夏休み。今年も暑い夏がやってきます。冷房の効いた部屋もいいですが、海や川などの生き物がすいすいと泳ぐ水族館で涼を感じませんか? 今回は新江ノ島水族館の特集を2回に分けて紹介します。

クラゲファンタジーホール
同館は、旧江の島水族館の開業以来約70年にわたり、クラゲの展示飼育や研究に力を注いでいる。1988年、世界で初めてクラゲ専用の展示館を開設。2021、22年には江の島近海で発見した新種を相次いで発表するなど、最先端を走り続けている。
契機となったのは昭和天皇の来館。クラゲの研究者として知られ、葉山御用邸(葉山町)で静養された際に度々訪れたという。
館内では現在、昭和天皇の研究に加え、「癒やし」「学び」とコンセプトが異なる二つのコーナーで、常時約50種のクラゲを紹介している。
目玉は、癒やしの展示「クラゲファンタジーホール」。球体の水槽「クラゲプラネット~海月の惑星~」を中央に、大小13の水槽を壁面に配置し、世界最大のクラゲの一つ「パシフィックシーネットル」など約15種を展示している。青い光に包まれた幻想的な空間はクラゲの美しさを一層際立たせ、ソファに座り、時間を忘れて観賞する来館者が多いのもうなずける。


さらに没入感を高めるのが、飼育員の考案した解説パネル。「優雅にたなびく この美しい触手になら、巻きつかれてみたいとさえ、ふと思えてしまいませんか?」(アカクラゲ)など、ポエム調の文章が添えられている。

一方、学びの展示「クラゲサイエンス」では不思議な生態や給餌の様子などを紹介。その日に同館そばで採集したクラゲを、手書きのイラストとともに公開するコーナーも設けている。

多い日には15種に上るといい、展示飼育部の山本岳さん(29)は「江の島近海は多くのクラゲが浮遊している。日替わりの展示を通して、クラゲの存在を身近に感じてもらえたら」と期待する。
▷クラゲファンタジーホール内で14日から、3Dプロジェクションマッピングを取り入れた映像で演出するショーを行う。
アカクラゲ

アカクラゲやミズクラゲなど、近年学名が変更になったものも。「科学技術の進歩で遺伝子解析が可能になり、学名や分類が変わることも少なくない」と展示飼育部の足立文さん(57)。
フンボルトペンギンとコツメカワウソ

フンボルトペンギンも、コツメカワウソも同館の人気者だ。老若男女が「かわいい」と口をそろえるフンボルトペンギン。27羽が仲良く暮らしている。

プール右側の別室では、1月に生まれた子ペンギンが子育て経験豊富な「フク」と「マーチ」のペアとともに過ごす。体は大人と大差ないほど大きくなったが、模様は子どものまま。1年後、次の換羽期に大人と同じ羽毛になる。

一方、コツメカワウソは、オスの親子「ヨモギ」と「オモチ」が愛らしい姿を披露している。寝ていることも少なくないが、起きている時は歩いたり、泳いだりと忙しい。

2021年には、サンシャイン水族館から繁殖のためにメスの「モミジ」が仲間入り。最近は人前に出ることにも慣れてきたという。
イルカショー

同館での楽しみと言えば、「イルカショー」もその一つ。ただ近年は内容が変わりつつある。
12頭のイルカは、12人の飼育員、獣医師、愛玩動物看護師と暮らしている。最も気を配っているのがイルカたちの健康管理だ。同館は異常を早期に見つけるため、1986年に国内の動物園・水族館で初めて「ハズバンダリートレーニング」を導入した。


採血時の針の痛みなど動物が不快と感じる刺激に慣れてもらい、安全な検査につなげるための訓練で、動きを指示する「ハンドサイン」も教えながら、イルカとの信頼関係を時間をかけて地道に、丁寧に築いていく。
現在は、検温を毎朝、体重測定を週1回、採血や採尿、検便を月1回、全頭に行うほか、超音波検査なども実施している。

ハズバンダリートレーニングの普及とともに、近年のショーは派手なジャンプだけで魅せるよりも、イルカをより身近に感じてもらえるよう飼育員は工夫を凝らしている。展示飼育部の羽田秀人さん(40)は「イルカたちにとって、最も良い環境を作りたい」と意気込む。



正面に相模湾、右に富士山、左に江の島を望む湘南エリアを代表する立地に建つ。1954年開業の旧江の島水族館を引き継ぎ、2004年に開業。「相模湾と太平洋」と「生物」をテーマに遊びながら学ぶことができる「エデュテインメント型」で、「えのすい」の名で親しまれている。
新江ノ島水族館:藤沢市片瀬海岸2の19の1。小田急線片瀬江ノ島駅徒歩3分。午前9時~午後5時(最終入場は同4時)。入館料は一般2500円ほか。曜日や月によって開館・閉館時間が異なるため、[HP]で要確認。電話0466(29)9960。
2023年7月8日公開 | 2023年7月8日神奈川新聞掲載
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