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ドキュメンタリー映画
美術館取り巻く問題、浮き彫りに 国立西洋美術館の裏側に迫るドキュメンタリー映画
- 国立西洋美術館(東京都台東区)

東京・上野の国立西洋美術館の裏側を1年半にわたって撮影したドキュメンタリー映画「わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏」は、美術好きにぜひ見てほしい作品だ。岐路に立つ美術展の在り方をはじめ、日本の美術館を取り巻く多様な問題を浮き彫りにしている。
同館は、20世紀を代表する名建築家ル・コルビュジエが設計し、2016年に世界文化遺産に登録された。20年10月から休館し、創建時の姿に近づける改修工事を行い、22年4月にリニューアルオープンした。
カメラは休館中の美術館に密着。美術専門の輸送業者によって、作品が移動される様子を淡々と追う。ロダンの彫刻「考える人」は包帯のように布を巻いて保護された=写真。大型の絵画作品は8人がかりで別の収蔵庫へ。現場の臨場感が画面にあふれる。
西洋美術や自分の仕事について熱弁する学芸員らのインタビューからは、国立美術館の厳しい予算と、その中でも多くの人に美術の魅力を伝えようと腐心する姿が浮かび上がる。
さらに外部の人々へのインタビューによって、戦後日本でメディアの資金力を背景に美術展が成立していった様子や、欧米の美術館との組織力、資金力の差も明らかになる。
文化庁による予算は削減の一途をたどる。現状に苦悩しながらも、前を向こうとする人々の思いが静かに伝わってくる。
監督は「スズさん 昭和の家事と家族の物語」の大墻(おおがき)敦。1時間45分。東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで15日から、横浜シネマリンで8月26日から上映。
2023年7月21日公開 | 2023年7月17日神奈川新聞掲載
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