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ナシのおいしさと作業の効率を追求 宿スミヤ園(川崎市多摩区)
- 宿スミヤ園(川崎市多摩区)

住宅に囲まれた3千平方メートルの畑で、年間20種以上の野菜や果物を露地栽培している三竹千明さん(58)。代々続くナシ栽培は味と品質が良く、5月には市内の果樹農園を束ねるJAセレサ川崎果樹部部長に就任した。
今の時季は、日々成長する夏野菜を収穫しながらナシの管理に忙しい。畑では豊水、あきづきなど30本の木を高さ160センチほどの棚仕立てで栽培。1本から300~400個ほど収穫するという。

例年、3月下旬に開花した後1つ1つ手作業で人工授粉。5月に摘果し、8月下旬から9月上旬の約2週間で一気に収穫する。1月には剪定(せんてい)して古い枝は切り、上に伸びる新しい枝を棚に沿うように曲げて結びつける。日差しや風の通りを考慮し、実の数をコントロールする重要な作業だ。「30年の経験ですね」と笑う。

マンションに囲まれた同園は、風が通りにくく害虫のハダニが出やすい。大量に葉につくと落葉し、木は季節を間違えて2度開花するという。同園では、近年の新たな防除策である天敵製剤のミヤコカブリダニを導入。ハダニを捕食する天敵を放飼する方法で、人にも環境にも優しい。畑の端で光るLEDライトは、実を食べる害虫シンクイムシの被害を防ぐもの。夜行性のため、光が活動を妨げる。「都市農業は効率も重要。薬剤をまく手間を減らし、低農薬にもなる」と話す。

同市は1893(明治26)年に川崎区(当時の大師河原村)で「長十郎」が発見されるなど、ナシの栽培が盛ん。特に多摩川流域で採れた日本梨は「多摩川梨」と呼ばれ、「かながわブランド」にも選ばれている。7月中旬から多摩区を中心に各所に直売所がオープンし、大型直売所セレサモスでも販売。同園でもナシ専用の直売所を開く。

お薦め品
豊水、あきづき:1キロ=750円
ここで買える
宿スミヤ園:川崎市多摩区宿河原2の17の22。登戸駅徒歩10分。不定休。メール=moha.nef246@docomo.ne.jp
▷ナシの販売は8月下旬~9月上旬。午前10時~なくなり次第終了。
▷ナシの時季以外は午前9時~なくなり次第終了。
※魚介類や野菜など生鮮食料品の価格・種類は、水揚げ量や収穫量、天候などの影響で変動します。
2023年7月28日公開 | 2023年7月27日神奈川新聞掲載
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