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T字路sの「波動感じて」 横須賀で9月にツアー公演
- 横須賀芸術劇場(横須賀市)

ギター、ボーカルの伊東妙子とべースの篠田智仁が2010年に結成したデュオ「T字路s(ティージロス)」。人生の悲喜こもごもを、ブルースやフォーク、ロックなどジャンルを超えたサウンドに乗せて届け、人気を集めている。9月18日に横須賀芸術劇場で、ライブ「THE BEST OF T字路s TOUR 2023」を行う。2人は「CDとは違うライブならではの雰囲気を楽しんでほしい」と口をそろえる。
横須賀で生まれ育った伊東。基地の町ならではの米国文化にあふれた雰囲気が、子どもの頃から好きだったという。県立横須賀高校でフォークソング部に所属したが、「実態は軽音学部。中学生の頃にバンドブームがあり、バンドをやりたかった。当時、三笠通りにあった小林楽器(現・オクターヴ)で初めてエレキギターを買った」とほほ笑む。
東京出身の篠田とコンビを組んだのは30代半ば。それぞれ違うバンドに属し、共演するなどの付き合いがあった。伊東のバンドが解散し、「1人でやっていくのも心もとなかったので声をかけた」という。
篠田は「ドラムなしで物足りないけれど、それを感じさせず、ビートが見えてくるような雰囲気が出せた時は気持ちいい。ライブも盛り上がるし、追求したいと思った」と結成当時を振り返る。
各地を回って小さなバーで演奏していたが、フジロックなどの音楽フェスから声がかかるようになり、次第に知名度を高めていった。NHK「みんなのうた」の名曲カバー企画でフォークソング「遠い世界に」をカバーしたり、映画やドラマ音楽を手がけたり、と活動の幅を広げている。
「横須賀出身というと、『だからか』と納得されることが多い」という伊東の歌声は、パワフルかつ繊細で歌心にあふれる。黒人の苦難の歴史から生まれたブルースやジャズのエッセンスが感じられる。
「自分たちがやっているのは大衆音楽。日々の泣き笑いを歌にしている」という伊東。「歌詞を誰かに届けるというよりは、自分に対して歌っている。それが聴いてくれた人に重なったらいいな、という気持ち。歌い手がどんな思いで歌っているのかが大事」
それが顕著になったのが、22年にリリースしたカバーアルバムだ。選曲段階では、自身が好きな奥田民生やウルフルズは予想に反してしっくりこず、さだまさしの「まほろば」が意外に合ったという。奈良の風景を舞台にすれちがう男女の心情をしっとりと歌った、さだの代表曲の一つだ。篠田は「歌詞を本気で歌えるかどうか」が鍵だという。
今回のツアー公演では、こうしたカバー曲とオリジナル曲を織り交ぜて披露する。「今の自分たちでは出せない、初期の頃のとがっていた曲もある。同じ曲でもCDで聴くのと、ライブのセットリストの流れで聴くのとでは温度も変わる」と篠田。伊東は「会場で聴くと波動が伝わる。それを感じてほしい」と来場を呼びかけた。
午後6時開演。全席指定4500円。問い合わせは同劇場、電話046(823)9999。
2023年8月7日公開 | 2023年8月4日神奈川新聞掲載
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