気になる
シネマ散歩
リチャード3世の遺骨、発掘したのは歴史好きの主婦だった 映画「ロスト・キング 500年越しの運命」

22日からkino cinema横浜みなとみらいで上映。
2012年、英国中部の町レスターの駐車場で、500年以上も行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨が発掘された。世界を驚かせたのは、調査の指揮をとったのが歴史愛好家の主婦だったことだ。
この驚愕(きょうがく)の実話に基づき、定説を覆して真実にたどり着いた一人の女性の奮闘ぶりを描く。歴史好き、ミステリー好きはもとより、自分に自信が持てず迷う人にも勧めたい良作だ。
別れた夫と協力して、2人の男の子を育てているフィリッパ(サリー・ホーキンス=写真)。筋痛性脳脊髄炎(ME)という病を抱えながらも、会社員として働いている。
ある日、シェークスピアの「リチャード3世」を観劇。世間の人々が彼に抱くイメージはよくない。兄王が残した王子たちを幽閉して殺し、王位を奪った悪者。背中の大きなこぶは醜く、細い目と薄い唇が残忍さを物語る。遺体は川に投げ捨てられた、とも。
「本当にそうなのだろうか」。疑問を抱いたフィリッパは猛然と調査を開始する。「MEの人」といわれ、職場では正当に評価されない自身の境遇をリチャード3世に重ね合わせ、心を寄せていく姿は、胸に迫る。
フィリッパの前に現れる幻のリチャード3世との会話がいい。端から見れば独り言だが、楽しい「推し」との会話。王の名誉回復を果たしたフィリッパの情熱がまぶしい。
監督/スティーブン・フリアーズ
製作/英国、1時間48分
2023年9月21日公開 | 2023年9月22日神奈川新聞掲載
オススメ記事⇩
この記事に関連するタグ
シェア、または新聞を購入する
- LINE
- URLコピー
- 掲載日付の
新聞を買う
推しまとめ
かながわの地域ニュースなら
「カナロコ」

「神奈川」の事件・事故、話題、高校野球をはじめとするスポーツなど幅広いローカルニュースを読むなら、地元新聞が運営するニュースサイト「カナロコ」がおすすめ。電子新聞が読めたり、便利なメルマガが届く有料会員もあります!