気になる
日本舞踊
対極の演目、日本舞踊の魅力知って 藤間恵都子・翔央、横浜能楽堂で公演
- 横浜能楽堂(横浜市西区)

横浜生まれの日本舞踊家、藤間恵都子と娘の翔央が10月29日、横浜能楽堂(横浜市西区)で開かれる公演「所縁(ゆかり)の日本舞踊」に出演する。くすっと笑えるものやシリアスな一作など、多彩な演目を披露する2人は「日本舞踊の魅力に触れてもらいたい」と話す。
改修工事に伴う同施設の長期休館を前に企画された「中締め」の一環で開催する。能・狂言に関わる作品を集めた同公演には、箏曲、常磐津、長唄とバリエーション豊かな4曲に合わせ、恵都子ら第一線で活躍する舞踊家が踊る。
恵都子は能「羅生門」の後日談として知られる「綱館」に出演。源頼光の家臣、渡辺源次綱に切り落とされた片腕を取り返そうと綱の伯母に化ける鬼・茨木童子を演じる。ダイナミックな長唄の演奏と激しい立ち回りが見どころだ。
伯母と鬼の演じ分けに気合が入る。「両者はまるで静と動。綱との腹の探り合いや、じわじわと迫る緊張感に注目してもらえたら」と恵都子。衣装を大きく変えず、体ひとつで鬼の迫力を表現するなど、難易度の高い役どころで魅せる。綱を演じるのは7月の公演で恵都子と共演した花柳基。「基さんは全国で最も活躍している男性舞踊家。役では敵対関係にありますが、息の合った掛け合いを見てもらえたらうれしいです」

翔央は狂言面を元にした「おかめ」「えびす」「ひょっとこ」を使い分けながら踊るユーモラスな一曲「三つ面子守」に挑む。「ふくよかなおかめ、少し酔っぱらったえびす、ひょうきんなひょっとこと、はっきりしたキャラクターがそろう。お子さんや初見の人にも分かりやすい作品です」と翔央。特に力の抜けたひょっとこがほほ笑ましい面白さを醸すといい、「『綱館』の緊張感とは対極。楽な気持ちで舞台を楽しんでほしい」と続けた。
美しい所作や凛(りん)としたたたずまいのみならず、「時代性と普遍性が合わさったところに日本舞踊の魅力がある」と恵都子は言う。「江戸時代以降、時代ごとにはやったものや庶民の慣習を取り込んできた一方、そこに描かれる人の喜怒哀楽はいつまでも変わらない。昔の貴重な風習に触れながら、今に通じる感受性や情緒を表現できることに、人々に訴えかけられる日本舞踊の力を感じます」
課題は踊り手と観客を増やすこと。横浜市保土ケ谷区などで教室を主宰しつつ日本舞踊の伝承に励む2人は、今回の公演がそのきっかけの一つとなることを願い、声をそろえた。「能楽堂の固定ファンをはじめ、日本舞踊の面白さを知らない人に興味を持ってもらえたら大きな喜びです」
午後2時開演。「三つ面子守」と「綱館」のほか、「熊野(ゆや)」(水木扇升(せんしょう))、「身替座禅」(水木佑歌、花柳源九郎)を上演する。S席6千円、A席5千円ほか。問い合わせは横浜能楽堂、電話045(263)3055。
この記事に関連するタグ
シェア、または新聞を購入する
- LINE
- URLコピー
- 掲載日付の
新聞を買う
推しまとめ
かながわの地域ニュースなら
「カナロコ」

「神奈川」の事件・事故、話題、高校野球をはじめとするスポーツなど幅広いローカルニュースを読むなら、地元新聞が運営するニュースサイト「カナロコ」がおすすめ。電子新聞が読めたり、便利なメルマガが届く有料会員もあります!