産地直売
黒川トマト
規格外は完熟アイスに
- 2016年8月11日 神奈川新聞掲載

多摩丘陵の豊かな自然が残る、川崎市麻生区の黒川地区。丘陵と谷戸の入り組んだ地形を生かした農業が盛んだ。昔からトマトの名産地としても知られており、「黒川トマト」の愛称で親しまれている。

市川正彦さん(74)は、生まれ育った黒川で60年以上前からトマトを生産している。8月末までは、皮がしっかりとして、酸味と甘みのバランスがよい品種「麗夏」を露地で栽培する。トマトは温度管理が大切といい、気温が高くなればなるほど、実が大きくなるという。「以前、ハウスでカボチャほどの大きさのトマトが育った。重さを量ったら1・3キロもあったよ」と笑う。
大きすぎたり、傷が付いたりして売り物にならない完熟トマトは、5年ほど前からアイスクリームの原料になっている。市川さんのトマトにほれ込んだ常連客が、東京都稲城市のアイスクリーム製造・販売店「エル・シエロ」を紹介してくれたのがきっかけだった。アイスクリームには、乳製品と卵は使わず、トマトのしっかりとした風味が楽しめる。後味はさっぱりとしていて、暑い夏に喉を潤すのにぴったりだ。
市川さんがトマトの栽培を始めたのは、中学に入学してすぐ。小学5年生のときに父親が他界し、トマトの生産で家庭を支えていた母親の背中を見て育った。「手伝うのは、ごく自然のことだった。近所のトマト農家の皆さんが協力してくれて、農業をやりながら高校も卒業できた。なんとか80歳まで頑張って続けたい」と意欲をみせる。

トマトとアイスクリームは、いずれもJAセレサ川崎直営の大型農産物直売所「セレサモス 麻生店」で購入できる。トマトは1袋(800グラム)200~250円。1日60~80袋を出荷するが、土日・祝日は完売するという。8月末まで販売する「完熟トマトアイス」は1個250円。
※魚介類や野菜など生鮮食料品の価格・種類は、水揚げ量や収穫量、天候などの影響で変動します。
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