産地直売
イチゴ
人気の秘密は「甘さ」
- 2017年3月2日 神奈川新聞掲載

小田原・蓮正寺地区の商業施設が立ち並ぶ通りを一歩入ると、住宅に囲まれるようにイチゴのハウスがある。この地で1万株のイチゴを栽培する小清水規さん(32)は、イチゴの品評会で農林水産大臣賞を2度受賞した経歴を持つ祖父・理夫さん(81)に学びながら、若手営農家ならではの挑戦を続けている。

「小田原はかつて、イチゴの大産地だったんです」。小清水さんが、そう切り出した。小田原のイチゴ栽培は戦前から始まったとされ、大消費地の東京に近い温暖な環境や、石垣で栽培していた時代に河川の石を調達できる強みから、栽培農家も多かった。現在は市内に十数軒が残る程度。高度経済成長期をピークに生産・出荷量とも減少傾向にあり、現在ではそのほとんどが市内や近隣で消費されている。
その背景について小清水さんは、「高速道路の発達で、栃木県や静岡県のイチゴが首都圏に流通するようになったこと。そして、小田原市内の宅地開発が進んだこと」を挙げる。
しかし、小田原産のイチゴには根強いファンが多い。他の産地に比べて高額にもかかわらず、市内の売り場ではすぐに売り切れ、簡単に手に入らない。人気の秘密は、「甘さ」なのだという。「消費者と距離が近い分、熟度が高いイチゴを出荷できる。実際、甘いイチゴにリピーターが増えています」と小清水さん。

栽培にあたっては土壌の状態が重要だ。肥料が多過ぎても実付きが悪くなるため、産地全体で土壌診断を行い、肥料分の割合を科学的に調べた上で、米ぬか、菜種かすなどを配合したイチゴのための肥料を使っている。土や肥料が最適なら味も間違いないというわけだ。
4代目となる小清水さんは、「うちのイチゴが一番おいしい」と思いながら成長した。県農業技術センターに勤務した後、25歳で就農。「イチゴ栽培は狭い土地でも工夫次第で結果が出せる面白さがある」と、目を輝かせる。
張りのある果肉をかじると、果汁があふれ出す。この甘みと印象的な香りが、消費者をとりこにしている。出荷は5月上旬まで。
★お薦め品
◇イチゴ「さちのか」
1パック1200円~

※魚介類や野菜など生鮮食料品の価格・種類は、水揚げ量や収穫量、天候などの影響で変動します。価格などは変わっている場合があります。
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