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テーマ特集 銭湯&湯上がりスポット⑧
銭湯建築に注目 宮造りの意匠・破風屋根

  • 2018年1月27日 神奈川新聞掲載

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 そびえ立つ煙突に富士山のペンキ絵、黄色い桶(おけ)。長年、庶民の“社交場”として親しまれてきた銭湯。一年で一番寒さが厳しくなるこの季節、湯船につかって温まり、くつろいでみませんか? 湯上がりスポットとともに紹介します。(8/14)

 広い湯船にゆったり漬かる。それだけで十分だが、せっかくだから銭湯独特のたたずまいやアイテムにも目を向けよう。

 まずはその建築。神社仏閣を思わせる破風(はふ)屋根を載せ、屋根飾りの懸魚(げぎょ)を備えた建物が今も残る。こうした宮造りの意匠は東京周辺に特有で、関東大震災からの復興過程で流行したとされる。戦後の高度成長期にも多く建てられた。宮大工が庶民のために腕を振るったのだ。


破風造りの堂々たる建物の朝日湯。昭和30年代半ばに建てられたという。手前は国道15号=横浜市鶴見区
破風造りの堂々たる建物の朝日湯。昭和30年代半ばに建てられたという。手前は国道15号=横浜市鶴見区

 横浜市鶴見区の朝日湯はその代表格で、千鳥破風が美しい。内部にも随所に職人の仕事が光る。例えば、見上げるほどの空間が広がる脱衣所。天井を角材で格子状に区切り、その四隅に曲線をあしらった折り上げ格(ごう)天井は、古都の大伽藍(がらん)に踏み入れたような見事さで、思わず手を合わせたくなる。


曲線が優美な朝日湯の折り上げ格天井
曲線が優美な朝日湯の折り上げ格天井

 「初代が昭和30年代半ばに新築する際、とにかく天井の高さにこだわったそうです」と3代目の主は話す。往年の銭湯経営者の心意気だ。湯上がりの熱を冷ますひととき、立派な格天井を見上げたい。

ケロリン、ペンキ絵…

 竹や籐(とう)を編んだ脱衣籠、温泉マークが刻印された蛇口、げた箱の木札…。銭湯にあるアイテムは味わい深い。じっくり眺め、独特の雰囲気に浸ろう。

 浴室に入ってまず目に付くのは「ケロリン」と記された黄色いプラスチックのおけ。同名の鎮痛剤を宣伝するため、1960年代から製造されている定番のグッズで、今ではファン向けに小売りもされている。

 “浴室アート”とも称されるのが、壁に描かれたペンキ絵やタイル絵だ。富士山の絵がよく知られる。庶民文化研究家の町田忍さんの著書「銭湯」によると「左右に流れる美しい稜線(りょうせん)は実際の富士山より美しく描かれている」という。「日本人の心のなかにある、いわば理想の富士山の景色」を再現したのだ。

 脱衣所にも見どころがたくさんある。例えば柱時計には、建築を手掛けた工務店などの名前が入っていることがある。開店記念に贈られたのだろう。古びた体重計に乗り、瓶の牛乳を飲みながら、思いを巡らせるのもいい。


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