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テーマ特集 神奈川の小麦①
おいしいパンを作るため生まれた湘南小麦

  • 2018年6月23日 神奈川新聞掲載

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 食の安全を求めて国産志向の消費者が増える中、国産小麦の生産が注目を集めています。県内の生産地での取り組みや、地元の小麦で作られたパンなどを6回にわたって紹介します。(1/6)




麦踏みや麦刈りなどを行うイベントには今までに親子連れら約800人が参加した
麦踏みや麦刈りなどを行うイベントには今までに親子連れら約800人が参加した

 「湘南小麦」は、平塚から始まり、現在は伊勢原や小田原、秦野などで栽培される南部小麦・チクゴイズミ・ニシノカオリ・農林61号など契約栽培の小麦を、石臼製粉プラント「ミルパワージャパン」で時間をかけ丁寧に製粉した小麦。摩擦熱を発生させない製粉方法と低温管理で、本来の味わいや香りを損なわない小麦粉を実現し、パン店を中心に約30店舗へ提供している。

 現在、湘南小麦プロジェクトをけん引するのは伊勢原のパン店「ムール ア・ラ ム-ル」店主で、「ミルパワージャパン」代表の本杉正和さん(35)。本杉さんが修業したパン店「ブノワトン」店主の故・高橋幸夫さんが、小麦の自給率が10%という現実に危機感を抱き、当時パン作りには適さないとされていた国産小麦でおいしいパンを作り続けていくため、契約農家から小麦全量を高値で買い取ったり、プラントを立ち上げたりしたのが始まりだ。

 高橋さんの思いを引き継いだ本杉さんは、さらに生産者と消費者をつなぐ「麦踏み塾」を立ち上げ、食育の観点からの普及・発信にも力を入れる。実際に小麦畑を訪れ、麦踏みや麦刈りなどを行うイベントには今までに親子連れら約800人が参加した。

 本杉さんは、小麦の品種ごとの味わいや特性を食べ比べるイベント「三麦三様」を調理学校やパン職人に対して行うなど、小麦の付加価値を高める「創麦師」としての活動も行う。「湘南小麦プロジェクトを成功事例に、今後は各県のご当地小麦も作りたい」と目標も話してくれた。


小麦畑の生産者 内藤正行さん(写真右)

 「職人と意思疎通を図り、作った小麦がどういう形になっていくのかを知ることはやりがいになる」と話す。

「さとのそら」「ゆめかおり」安定生産へ

 国産小麦の需要が高まっている。背景には、品質の高さや安心感を求める消費者の増加がある。県内の生産量は、農家の高齢化などで緩やかな減少傾向が続いているが、県農業技術センター(平塚市)が、生産者組織と製パン業者をマッチングする機会を設けるなどして、小麦の安定生産の実現に向けて取り組んでいる。

 同センターの統計では、県内の小麦の作付面積は約37ヘクタール。麺用品種「さとのそら」と、パン用品種「ゆめかおり」が主に生産されている。生産量が多い地域は厚木市、秦野市、藤沢市。厚木市では麺用品種、秦野市と藤沢市ではパン用品種の生産に力を入れている。

 小麦は昔から生育不良を防ぐため、同じ畑で野菜や豆などと輪作されてきた。米に比べて手間が掛からないことから近年では、荒廃地対策に小麦を栽培する動きも見られる。


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