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神奈川の妖怪伝説
目一つ小僧とセエノカミサン 大磯町の左義長保存会に聞く
- 左義長保存会(大磯町)

言い伝え
閻魔(えんま)大王の使いの目一つ小僧と呼ばれる厄神が、村人の行いやそれに対する災いを帳面に書いて回っていた。ある時夜が明けてしまい、太陽に弱い目一つ小僧は慌てて帳面をセエノカミサン(道祖神)に預け帰っていった。セエノカミサンは困り果て、自分の家とともに帳面を燃やし村人を災いから守った。
厄災が出てこないよう地固めしながら家々回り福を届ける

400年以上続く大磯町の「左義長(さぎちょう)」。同町北浜海岸が赤く染まるほどの炎が上がる荘厳な祭りだ。1997年には国の重要無形民俗文化財に指定され、目一つ小僧とセエノカミサンのいわれを元にさまざまな行事が大切に残る。
目一つ小僧(厄災)は地面から湧き出るとされ、12月8日(コトヨウカ)には地域の小学生が縄に結んだ「ごろ石」と呼ばれる石で地面をたたき、厄災が出てこないよう地固めをしながら家々を回り福を届ける。
1月15日に目一つ小僧が預けた帳面を取りに来るので、前夜14日に自らのすみかもろとも火を放ったセエノカミサンに倣い、仮屋に飾った竹と松を中心に立て正月飾りなどをわらで囲ったものに火を放ち厄災、疫病、悪霊を封じ込めた仮宮を燃やし、繭玉に見立てた団子を焼く。
「昔は幼くして亡くなる子どもも多く無病息災を願う気持ちや、地域で大切に見守り育てる教育の一つでもあった。疫病退散の意味もあり、今こそ行いたい行事。この行事が失われると目一つ小僧がほくそ笑む」と左義長保存会のメンバーは話す。

大磯町の左義長
1月14日直近の日曜日に開催。今年は中止に。現在は人手不足から存続が危うくなり、ボランティア「左義長応援団」を募集中。行事の手伝いや甚句なども学べる。希望者は同保存会前会長の芦川博昭さんまで。電話0463(61)0411。
2021年8月1日公開 | 2021年7月24日神奈川新聞掲載
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