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気になる 横浜市歴史博物館が企画展 「布 うつくしき日本の手仕事」

  • 2021年9月6日 神奈川新聞掲載

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青森のこぎん、会津の刺子をメインに、アイヌ文様の刺しゅうや日本各地で織られた布など見応えある展示=横浜市歴史博物館
青森のこぎん、会津の刺子をメインに、アイヌ文様の刺しゅうや日本各地で織られた布など見応えある展示=横浜市歴史博物館

 横浜市歴史博物館(横浜市都筑区)で企画展「布 うつくしき日本の手仕事」が開催中だ。東日本大震災から10年がたち、復興や未来へつながる取り組みが注目される中、東北地方を中心に日本の布や日常着に表現された手仕事を紹介。多彩な展示を通して布文化と実用の美に触れられる。同館と神奈川大学日本常民文化研究所の共同企画。

 人々が日常の暮らしで着る衣服は、江戸時代以降は木綿、それ以前はさまざまな草や木が素材だった。時間と労力を費やし、植物から繊維をとり、糸にして布を織る。その布から仕立てられた日常着には、暖かさや丈夫さといった実用性を高めるため、刺子(さしこ)や型染(かたぞめ)、裂織(さきおり)などの手仕事の技が施された。

 なかでも東北地方で生まれた「こぎん」や「菱刺(ひしざし)」の美しさは国内外でも高く評価されている。

 こぎん刺しは、青森県津軽地方に伝わる刺子の技法の一つ。藍で染めた大麻地(たいまじ)の布に白い木綿糸を刺し、美しく細やかな模様を表現した。その模様と地域から「東こぎん」「西こぎん」「三縞(みしま)こぎん」に分類され、昭和初期に柳宗悦らの民芸運動によって再評価された。

 青森県南部地方の菱刺は、こぎんと並ぶ代表的な布の工芸品だ。浅黄色に染めた大麻地に紺や黒、白の木綿糸を使って横長のひし形を基本としたさまざまな模様を刺す。山形県庄内地方の「庄内刺子」や、福島県や新潟県の旧会津藩領に伝わった「会津刺子」、アイヌ文様が配された「テタラペ」「アットゥシ」なども並ぶ。


庄内地方でそりを引くときに使われた袖なしの刺子。引き綱が当たる右肩から左脇に掛けて刺子で補強した布を付けている
庄内地方でそりを引くときに使われた袖なしの刺子。引き綱が当たる右肩から左脇に掛けて刺子で補強した布を付けている

 同大大学院歴史民俗資料学研究科の昆政明特任教授は東北地方は綿花が栽培できず、江戸以降も大麻布が主流だったと解説。「布を丈夫にするため糸を二重にして刺したり、染め直したり、さらには端切れを表や裏にも当てた。知恵と努力で限られたものを最大限に活用して愛着を持って、ぼろになるまで大切に使い続けた」と説明する。

 「裂織」は裂いた古い木綿の端切れを横糸に使い厚手に仕上げた生地。風や水に強く、保温性に優れ、漁や野良着に重宝された。使う端切れの濃淡によって、独特な美しい横しま模様が生み出される。

 草木を原料とした「古布」と呼ばれる布にも注目。山に自生するシナの樹皮から繊維をとって織った「榀布(しなふ)」や、山菜であるゼンマイの綿毛を混ぜた糸で織った「ぜんまい織」などが並ぶ。それぞれの植物が布になるまでの工程も展示。ほかにも和紙を細かく切り、よったこよりをつないだ紙糸で仕上げた「紙布(しふ)」など、先人の知恵と工夫に驚かされる。

 同館の刈田均主任学芸員は「手仕事を間近で見て、日本文化の魅力を再認識してもらいたい。SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる今、未来を考えるきっかけになればうれしい」と呼び掛ける。

 20日まで。月曜休館(20日は開館)。事前予約制。一般千円、高校・大学生700円、小・中学生と市内在住65歳以上500円。問い合わせは同館、電話045(912)7777。


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